Aの魔法陣のメカニズム

Aの魔法陣とは?

 Aの魔法陣とは、アルファ・システムサーガ付属のオマケゲームです。 ジャンルはTRPGに分類され、ルールにして21pという非常に小さなサイズの小品となっています。

●キット

 TRPGというゲームは厳密に言えばその状態のままでは完成していません。
シナリオというものをゲームマスターがくみ上げ、ゲームバランスを調整してはじめて一個の、本当の意味でのゲームになります。

そういう意味ではTRPGは未完成品であり、シナリオ組み込み型の初挑戦用ゲームとは分けてキットと称して売るべきではないかという指摘は主として流通関係者の要望で古くからあり、今回、キットという名前で収録しています。
 ゲーム内容そのものは小さなサイズのTRPGと同じなので、名前がキットという以外に特別な仕掛けはありません。

カスタマイズのメカニズム

 TRPGというものを言葉遊びと規定する場合、その主たる属性は言葉の意味する範囲(これを外延という)の規定と規定範囲での運用です。

 分かりやすく言えば、TRPGは言葉遊びであり、言葉遊びでもっとも重要なのは、言葉の意味と、言葉の使い方である。というものです。

 TRPGとは、判定者であるゲームマスターに多くを依存するゲームです。
ゲームマスターがいるおかげでルールを把握する必要はかなり減り、ゲームを面白く遊ぶことが出来る一方で、ゲームマスターの腕次第で面白くもなくなりますし、不正な判定が発生するときがあります。

 これは極初期のTRPGと言える兵棋演習の時にドイツ参謀団が指摘し、のちにこのタイプの演習が廃れる原因となりました。(現在の商業的原因の衰退と違うので注意してください)

 Aの魔法陣というゲームは、TRPGの力点であり、天元でもあるゲームマスターと言葉の外延に着目し、これを再定義する形でゲームデザインされています。

●ゲームマスターはゲームデザイナーである。ゲームデザイナーは基礎設計者である。

 世に言うTRPGのゲームマスターは、純粋に職務内容だけで言うならば他のゲームにおけるゲームデザイナーとまったく同じ仕事をこなします。
違う点は0から作るか、ある程度のキット、すなわち半完成品を与えられているかどうかの違いです。 模型でいうところのモデラーと原型師の関係といってもいいでしょう。

 これからのTRPGの第一歩として、まずゲームマスターはゲームデザイナーと同義・同列に扱うべきという思想にそって、Aの魔法陣はデザインされています。

このためにゲームマスターと言うあいまいな定義を排して、セッションデザイナーという独自名称を新たに作っています。指導方針として、ストーリー以前でまずゲームをつくれとあるのはこのためです。

●セッションデザイナーはゲームシステムの一部であり、他のルールはこの従属装置である。

 セッションデザイナー(ゲームマスター)はゲームデザイナーであるのと同時に、ゲームシステムの生きた部品として判定と表示、表現を担当します。

ゲームマスターが重要であるとは、これらの重要な緒機能が集中的に一部品であるゲームマスターに集まっているために言われています。

 ゲームマスターとはTRPGにおける最も重要な機能部品です。極端な話をすれば他のルール等はこのゲームマスターを補弼する従属的な部品の集まりでしかありません。

そのうえ、ゲームマスターは生物(なまもの)で規格統一されておらず、さらに組織的訓練をされていないために性能はばらばらです。これは自動車においてエンジン性能がまちまちであることを示します。このため、ゲームとして見た場合、TRPGの性能、性質は非常に多彩、悪く言えばでたらめなものになっています。ゲームマスターはTRPGという遊びにおけるアキレス腱であると言う人もいます。

●Aの魔法陣の着眼点と設計方針

 およそ、TRPGの発展は

  1. ゲームマスターの権力と作業(ワークロード)を削減し、マスターレスに近づける。
  2. ゲームシステムを一律化し、ゲームマスターの作業(ワークロード)を削減する形をとりつつ、マニュアル化することで画一的なゲームマスターを量産する。(エンジン出力の定格化を図る)

 方式をとってきました。

Aの魔法陣は、上記のいずれからも外れてゲームデザインされました。 これは後発で本付録のゲームで一般的アプローチをしても先発に比較して勝率が極めて低いためです。

  1. ゲームマスターを最も重要な機能部品として位置付け、ゲームマスターにあわせて全ての機能部品を機動的に再配置する。生体部品が苦手な部分(記憶、カウント、数学モデル)をシステムが補う。

 ゲームマスターの個性を尊重、拡張し、土台化する。Aの魔法陣はルールがゲームマスターに処理を要求するのではなく、ゲームマスターとルールが互いにフィードバックしあう形でTRPG最強の力の源泉である”ゲームシステムに人を組み込むことによる驚異的な応答能力の高さ”を最大限引き出す目的で作られました。

 理論上、このゲームは(プレイヤー4+セッションデザイナーの構成で)3ゲーム15シーン(一人頭60行動宣言、合計240判定)でセッションデザイナーおよびプレイヤーのおおよその癖を吸収し、最適化します。以後、プレイヤーの変化や時代の趨勢を飲み込んで、小修正を延々と繰り返して行く動きをするはずです。

魔法陣のもっとも原始的な形は円です。
円には最初もなく、終わりもない。厳密に円周率を求めることはできず、あらゆる形は円を基本として作られます。

 Aの魔法陣は、円をイメージして作られています。
どうぞ、円の世界を堪能してください。

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