ガンパレードマーチ・外伝
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 笑いが収まる頃、善行は今迄聞いては、はぐらかされるばかりのことを聞いた。
「僕は、いい士官になれそうですか。」
「そんなことを、聞かなければ。ミスター。」
 若宮は、少し笑った。

「部下はいつも、迷いなく決断する上官を望んでいるのです。自分が弱く、はかない兵隊であるゆえに。そして上官を見て思うのです。自分は弱いが、この人についていこう。この人の正義についていこうと。」
「僕は正義の味方じゃない。」
「そんなことは知っています。ですが、それでも人は正義が欲しいのです。傷つき闘う、その意味を得るために。…あなたは、ただの大学生かもしれないが、我々にとっては、この国の正義を体現し、我々が死ぬ最後の一瞬まで全力をつくす、ただ一人で絶対の忠誠の対象なのです。ミスター。たかが十人の小隊でも、あなたが指揮を執る以上は変わらない。」

「あなたには義務がある。我々の死に。せめて正義のために闘って死んだと、そう我々に信じさせる義務があるはずです。」

「…僕が…正義の体現者だって…?」
「あなたが任官のために手をあげたときに、国家は貴方にその役目を与えたのです。望むと望まざるに関わらず。それが運命だと。」

「…僕は、面倒くさい儀式だと、そう思っていた。」
「だから我々がこっぴどく体に叩き込むのです。苦しいとき、絶望するとき、それでもなお正義を守り、死を強要し、自分が死ねるように。」

「我々こそは伝説が歌う、民を守りて闇を払う銀の剣。そうでなければならんのです。」

善行は、顔をあげる。

若宮も、顔をあげた。
 軍の制服を着た男が駆け寄ってくる。若宮と同じく教育下士官だった。

「どうした。」
「校長が、自殺された!」


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