暴れない交換日記からの抜粋記事
01/09/06
以下の記事は、暴れん坊プリンセス公式ホームページ、
暴れない交換日記より抜粋しました。 ●相殺の面白さについて 2001/08/29 桝田省治
アシスタントの前田くんが目の前で、最新バージョンをプレイしている。 デバッグ作業であるから何度も何度も同じ箇所をプレイする。 どんなに意外性のある展開でも、ド派手な演出であっても、さすがに短期間に10回も同じシーンを見れば、誰でも飽きる。 が、前田くんを見る限り、戦闘は例外のようだ。 暴プリの戦闘における戦術面での特徴は、敵味方の同時行動。 それによって起きる相殺。 詳しい説明は他に譲るが、単純に言えばジャンケンのあいこのように、お互いの手が無効になる。 今回はこのシステムの構造説明ではなく、なぜ面白いかを分析してみる。 まず、過去のRPGに似たものがなかったかを、考えてみた。 結論から言えば、僕には思い出せなかった。 だいたい相殺の前提となる敵味方の同時行動がない。 つまりシステム自体に新鮮な感覚がある。 ただしゲームの場合、斬新と消化不良は7割以上イコールだ。 新しいからと言って、必ずしも面白いわけではない。 では暴プリは、どうか? スポーツ中継で「攻撃的守備」という、一見矛盾した言葉を最近よく耳にする。 サッカーでキーパーが積極的に飛び出したり、野球で極端なシフトを引いたり、そういうシーンで使われている。 共通するのは敵の攻撃を予測し、能動的にそれをつぶすことだ。 もちろん大きなリスクを伴う。予想が外れれば即、失点。 逆に言えば、だからこそ観客は、この駆け引きに興奮する。 おそらく暴プリの相殺の面白さは、これに近い。 「ちッ」「よ〜し」「イェー」などと、前田くんが日がな1日飽きもせず、テレビとお話ししているのは、おそらくこういう理由だろう。 決して彼が電波な人だからではないと、僕は信じている。 ●相殺の面白さ その2 2001/09/05 桝田省治
8月末に書いた説明がわかりにくいと指摘があった。 ま、結局のところ、実際に自分でプレイしないとわからないとは僕も思う。 なぜなら、この文を含め他のメディアで説明できるような面白さなら、わざわざゲームにする意味がないからだ。 とは言え、発売まで時間がある。 もう少し解説を試みる。 たとえばこんなシーンを想像してみてくれ。 か弱い女の子が大男に襲われた。 逃げ道はない。彼女は戦うしかない。 今までの多くのRPGで、彼女にできたのは身を守ったり回復に専念したりして、被害を軽減することだけだった。 目的は仲間の救援があるまでの時間稼ぎだ。 対して“相殺”は、成功すればダメージ0。 敵の攻撃1回分を完全に無駄にすることができる。 かつ救援が必要ないのだから、仲間をフリーにできる。 その分、作戦の選択肢が増える。 もちろん暴プリにも従来通りの防御系のコマンドはある。 どちらを選ぶかは、そのときの戦況次第だ。 が、ここでひとつ。 暴プリの戦闘は、すべてがいわゆるボス戦だ。 問題を先送りするだけの消極的な防御では、負けないまでも勝てない。 運良く勝てたとしても、作戦評価は芳しくないはずだ。 つまり暴プリの戦闘バランスは、ハイリスクを承知で勇気を持って能動的に行動することを推奨している。 ちなみにシナリオもそんなテイストだ。 “元気が出るゲーム”に偽りはない。 ●作戦部長の重責 2001/09/06 桝田省治
ここのところ急にシステム周りの話が続いているのには、理由がある。 発売直前の雑誌広告のコンセプトを模索していたのだ。 で、浮かんだキャチフレーズが 『暴プリは、ただのイロモノではない!』 具体的には、戦闘部分の新しい戦略性とキャラクター造形の深さを証拠として挙げようと考えている。 そのために戦闘部分を既存のRPG等と比較しつつ、僕なりに再度、分析しているわけだ。 今回のお題は「作戦部長の仕事がいかに大事か」である。 その話に入る前に、暴プリと多くの既存のRPGの違いにいくつか触れておく。 まず暴プリには経験値がない。レベルアップもしない。 お金を貯めて、強い武器を買うということもない。 言い換えれば「地道な努力→パワーアップ→勝利!」というRPGの暗黙にして最大の不文律が何げに打ち捨てられている。 つまり暴プリの戦闘においては、攻撃力やHP等の大小は本質的要素ではない。 では勝敗を決するのは、何か。 アイテムの配分、戦術、そして士気である。 これらはすべて、作戦部長(あなた)管理下にある。 既存のRPGに比べ、あなたの役目がいかに大事か、あるいは負担を強いるか、おわかりいただけただろうか。 ついでに言っておくと、上記3要素は、確かにシステム上は作戦部長(あなた)の手の内にある。 が、周りはわがままな上司と曲者ぞろいの部下ばかり。 人材豊富な巨人の長嶋監督よりは、悩み多き阪神の野村監督に状況は近いはずだ。 ま、がんばってほしい(笑)。 ところでこの文章を読んでいるであろう業界関係者諸君。 『暴プリは、ただのイロモノではない!』 雑誌の見出し、店頭のPOPの文案が浮かばなかったときは遠慮なく使ってくれ。 以上。 |