ンモスを狩ろう1、状況を想像してみよう

04/03/08


 先日アップした「ニンジャ対戦」のシステムを、ちょっとアレンジしてみた。
 ちなみにこの企画では対戦要素は考えていない。
 今回のテーマは「人間より圧倒的に強い生き物を集団で狩る」。
 そのハンティングの状況の再現だ。

 とりあえず原始人のマンモス狩りを想像して見てくれ。
 マンモスは人間の何倍も大きい。力も圧倒的だ。
 体当たりされれば重症間違いなし、踏まれたらおそらく即死。
 ヘラクレスでさえライオン、大山増達でさえ牛がせいぜいだ。
 常人が正面切って戦ってマンモスに勝つなど、ありえない。
 だが銃ももたない原始人たちは、マンモスを狩っていた。
 たまには犠牲者も出ただろうが、狩りのたびに死傷者が出ていたなんてことは絶対にない。
 そんなに損失を出していたら、半年もしないうちに村は崩壊だ。
 ではひ弱な人間がいかにしてマンモスを倒していたか、だ。

 まず子供マンモス、ケガしているマンモスなど、倒しやすいマンモスに当たりをつける。
 ターゲットが群れから離れる瞬間まで何日も付け回す、あるいは待ち伏せを続ける。
 攻撃する前には、攻撃しやすく反撃されにくい、あるいは撤退しやすい安全なポジションを探す。
 安全なポジションが見つからない限りは、無理に仕掛けない。
 罠を仕掛け、攻撃以前にマンモスの体力や攻撃力、移動力を奪う。
 攻撃を開始するときは複数の人間がいっせいに襲いかかる。
 もちろん攻撃開始以前にマンモスに見つかってはならない。
 なにしろ足もマンモスのほうが速い。逃げられたら終わりだ。
 マンモスの急所や矢尻に塗る毒の研究もしただろう。
 要するに攻撃以前に、戦闘の成否のほとんどが決まる。

 しかし予想できない要素も多い。
 もしも仲間のマンモスが救援に現れたら。
 もしも移動中に気づかれてマンモスが先に攻撃してきたら。
 もしも初動の攻撃が期待したほど効果がなかったら。
 もしも敵原始人グループや肉食獣が狩りに乱入してきたら。
 こうなると一瞬の判断が生死を分ける。
 撤退か作戦続行か。
 次のチャンスはいつくるかわからない。
 だがマンモス1頭で村人全員が半月は飢えずに済む。
 それに手持ちの食料は残り3日分しかない。
 しかし犠牲者がでるかも。下手すれば全滅だ。
 原始人のリーダーは瞬時にいろいろ考え迷ったはずだ。

 RPGではおなじみのレベルアップ。
 初猟の原始人の若者が、数年後に歴戦の勇者まで成長したとしよう。
 彼の体力パラメータは確かに上がっている。
 しかしマンモス相手だと、人間の身体能力のアップなど、大した意味はない。
 マンモス1頭を倒すのに最初は20撃かかったが、16撃で殺せるようになった、とか。
 デビュー戦では、3秒で15メートル平均の移動しかできなかったのが、20メートル動けるようになった。
 せいぜいこれくらいの微々たる成長だ。
 むしろマンモス狩りにおける成長とは、攻撃に適したポジションや、狩りをあきらめて逃げるタイミングの見極めが正確になること。
 より多くの人間に信頼され恐れられ、思いどおりに集団を操ることだったろう。

 続いてもうひとつのRPGの強化手段、武器の意味を考えよう。
 もちろん素手よりは絶対にましだ。
 だが鳥ならともかくマンモスとなると、一撃必殺の武器などない。
 こん棒より槍、槍より弓矢のほうが近寄らないですむ分、格段に安全だろう。
 しかしターゲットとの距離が離れるほど命中精度も威力も減る。
 最後は危険を承知での接近戦になったはずだ。
 武器や道具の変化は、戦闘力の強化というよりは、戦闘スタイルの変化に直結していたように思う。

 「人間より圧倒的に強い生き物を集団で狩る」ということが、だいたいどんなもんかイメージできただろうか?
 要するに正々堂々と戦ったら勝ち目はない。いかに戦わずに勝つか。
 目指しているのは、こういうゲーム性とバランスだ。

 「マンモスを狩ろう2、システムイメージ」に続く。

 以上
Alfa・MARS PROJECT