のゲームの共通要素は設定の妙か?

99/5/24 桝田省治


 5/21売りの電撃PS、岩崎くんのコラムを読んでいて気づいた「僕の企画するゲームの共通要素」。
 僕の企画するゲームのベースになるおもしろさの構造は、実にシンプル。
 プロのゲームデザイナーや少しゲームの制作に興味のある人なら、思いつくレベルの平凡なアイデアと言い換えてもいい。
 それを具現化するためのシステムデザインも分解してみれば、一つひとつは単純でさらに大半は既存のシステムのパクリかせいぜいがアレンジ。
 
 じゃあ、ナゼ、僕の企画したゲームに似たモノがほとんど出ないか。
 この点が桝田省治ゲームの共通要素を解くカギだ。
 理由はいくつかある。
 ひとつには、実はそのシンプルなおもしろさだけを不自然に抽出しているにもかかわらず、さほど不自然に見えない設定。
 
 動物捕獲のリンダなら「滅び行く星に飛来する謎の箱舟、そこにはこの星の動物を救ってくれという神からのメッセージ」。
 対戦恋愛のNKなら「王様選挙、次期王様候補のライバル王子は4人。ただし12人の有権者は、現王様の趣味で全員ギャル」。
 世代交代の俺屍の場合は「短命と種絶の呪いをかけられた悲劇の一族の復讐劇」。
 設定を考えた僕が言うのもナンだが、ご都合主義の見本市のようだ。
 が、システムの趣向をストレートに活かしているという意味では、ベストとは言わないが十分に合格点がつく解法のひとつだとは思う。
 
 よく雑誌などで奇抜な設定と書かれるが、僕の場合ゲームとして成立する必要条件を分析し集合としてとらえて、それらをなるべく 単純に満たす構造を論理的かつ直裁に(安直にかも?)導き出している。
 基本的なおもしろさの部分で同じアイデアを思いつく人はいっぱいいる。
 が、それをゲームに落とし込む段階でのアイデアを出すテクニックがないか、あきらめがよすぎるかのいずれかなのだと思う。
 
 たとえば俺屍を例にとると、以前にファミ通の“大人のしくみ”(業界ネタのコミック)で、鈴木ミソ氏が“家のしくみ”という ゲームのアイデアを描かれていた。これが80%くらいの一致率で俺屍とそっくりなゲームで、今だから言えるが それを見た僕は本気で焦ったモノだ。
 この漫画のオチは「…というゲームを考えてはみたが、そんなゲームはおもしろいわけがない。ジャンジャン」であったと記憶している。
 
 結果として、ズル賢くあきらめも悪い僕の企画するゲームは、以下のふたつの差別化ポイントを常に共通して持つことになる。
 ●平凡だがゲーム化が困難なおもしろさ。
 ●そのおもしろさを再現するためだけに意図的に作られた特殊な状況設定。
 
 余談。さらにこの特殊な状況設定を活かすためごまかすため、必要に応じて、あるいはサービスとして、キャラクターやシナリオを後から 適当にデコレーションする。
 が、グリコキャラメルのごとくに、そのオマケのほうをむしろ喜ぶ人がいる。世の中ナニがうけるかわからない。
 
 桝田省治
Alfa・MARS PROJECT