て、どこからがウソだ?

99/5/24 桝田省治


 長男のウソはけっこうおもしろい。
 僕が覚えているモノ(2年ほど前、長男が4〜5歳、初夏のころの作だ)をひとつ紹介しておこう。
 当時の彼の作り話の中では比較的一般性が高いモノだ。
 一応、小話としてのオチもある。
 
 保育園の1本の木に毛虫がいっぱいついていることを、2、3日前僕が見つけた。
 先生に教えてあげたら、ほめられた。
 今日、市役所の人が来て噴霧器で薬を撒いた。
 しばらくすると毛虫がポタポタと落ち始めた。
 後始末が大変なので、木の下に何か敷いてはどうかと先生が言った。
 でも適当なモノが見つからなかった。
 仕方がないので、給食室のフライパンを木の下に並べた。
 で、今日の給食のオカズは野菜と毛虫の炒めもの。
 みんなは気持ち悪がって食べなかったけど、僕はお代わりをした。
 …さて、この話、どこからがウソだ?
 
 長男には“虚言癖”があると妻は最近心配している。確かに長男の弁には作り話やウソが多い。が、子供に“空想癖”があるのは正常で、むしろ よいことだと僕は思っている。
 
 「さて、どこからがウソだ?」クイズの答え:
 フライパンの件からだと思った方は、残念でした。
 フライパンは長男の仕掛けたトラップ。
 正解は、この話の最初から。すべてが彼の空想です。
 もちろん親である僕や妻は引っ掛かりませんでした。
 
 自分のトラップが思惑通りに機能せず長男は非常に悔しがっていた。
 だから僕は“きつく”叱ってやった。
 「ば〜か! だからいつも言ってるだろうが! トラップは2重にかけろって!」
 
 最近そのコツがわかってきたらしく、長男のウソが妻にはナカナカ見抜け ないことが多くなった。困ったモノである。
 
桝田省治
Alfa・MARS PROJECT