河高原ビールで遊ぶ

02/11/13


 銀河高原ビール、というものを飲んだ。
 酵母が生きているのがセールスポイントらしい。
 ビールの善し悪しなど僕にはわからないが、他のビールと味がちがうのはわかったし、別段まずくはなかった。

 銀河高原ビールのパッケージは、なかなかオシャレだ。
 青いビンに、2頭のトナカイだかシカのラベルがはられている。
 それを動物が好きな娘に見せた。
 彼女は「サンタがいないトナカイだ」と言う。
 この仮説が正しいとすると、サンタがいないこの状況をどう説明すればいいのだろう。
 まず、サンタを乗せたそりはあったのか、最初からなかったのか。

 出発時にあったのなら、途中で連結がはずれたことになる。
 偶然の事故か、それとも意図的なものか。
 偶然の事故なら、サンタとそりはどうなったのか。
 墜落したのか、空の一点のどこかで立ち往生しているのか。
 この状況をトナカイは、どこまで理解しているのか。
 「1年ぶりなんだから、ちゃんと点検しとけって忠告したのによォ。まったく世話のかかるジジイだぜ」とか悪態つきつつ捜索中?
 意図的なものであるとすると、連結をはずしたのはだれか。
 サンタ自身か、第三者か。
 第三者だとすると、犯行の動機が気になる。
 犯人は大人になりきれない子供かもしれない。
 彼は言う。
 「自分の本当に欲しいものが40過ぎても見つからない。
 きっと見つけられないまま死ぬ。チクショー!」とかなんとか。

 次に最初からそりがなかったとするとどうだろう。
 やはり偶然と故意の2通りが考えられる。
 偶然の事故は、ちょっとした不注意も含めると、ありそうな話だ。
 散歩の途中で犬が逃げたり、動物園から猛獣が逃げることだってたまにある。
 問題は意図的な場合だ。
 仮にサンタが故意にトナカイを放したとすると、今後の移動手段はどうなるのか。別の移動手段があるのか。
 それとももう必要ないのか(つまりはサンタ廃業か?)
 いずれにせよ、時代の流れを感じる変化には違いない。
 サンタに捨てられたことに気づかず、例年と同じ夜空のルートを寸分違えることなく疾駆する2頭のトナカイ。
 切ない光景だよ、まったく…。

 なぞは深まるばかりだ。
 たかがビール1本のアルコールとラベルで、これだけむだなことを想像できるという点で、銀河高原ビールは優秀な酒だとは思う。
Alfa・MARS PROJECT