密基地のパラドックス

03/04/01


 10日ほど前から小学校は春休みに入った。
 長男は毎日、塾に通っているが、次男はうちで遊んでいる。
 次男の自室を覗くと、どこから調達してきたのか、穴の空いた大きなダンボール箱があった。
 “秘密基地”であるらしい。
 なぜダンボール箱が秘密基地であることが判明したかと言えば、穴の横に“ひみつきち”と大きく書いてあったからだ。
 “ひみつきち”と書くにあたり、次男には葛藤があったようだ。
 “ひみつきち”と明記しなければ、だれにもそれが秘密基地だと認知してもらえない。
 母親に捨てられる可能性すらある。
 逆に“ひみつきち”と宣言すれば“秘密”の基地ではなくなる、という矛盾が生じるからだ。

 では、次男はどう対処すべきであったか。
 これを読んだ皆さんも頭をひねってみてくれ。
 とりあえず僕は別の方向性で、以下の6案を考えた。

 案1. 偽の機能を提示する。たとえば“犬ごや”と看板を付ける。
 “春休みの工作”などの表記も短期的には説得力がある。
 “謎の円盤UFO”では映画スタジオの地下に基地があった。
 案2. 単に“きち”と記し、“ひみつ”部分は隠蔽する。
 自衛隊基地の地下に、米軍のミサイル基地が隠されている。
 あるいは「木を隠すなら森に」だ。
 案3. 「すてるな」とだけ書き、機能にはあえて触れない。
 この案は興がないし、問い詰められたとき困る。
 案4. 秘密基地らしい部品(レーダーや砲塔など)を設置する。
 戦隊ヒーローの人形を並べるのも、いいかもしれない。
 案5. 秘密基地自体を、物置の奥など目立たない場所に移動する。
 まあ、当たり前のアイデアだが、機能は満たす。
 案6. 有事以外は、たたんで押入などに隠しておく。
 これも偽装の1形態である、という意味で秘密基地らしくはある。
Alfa・MARS PROJECT