バリ島雑記2、ケチャの複雑さの意味
99/2/8 桝田省治
夏山のセミの鳴き声ような、ホワイトノイズと音楽の境界線を綱渡りしているような。 「ケチャケチャ…」と数十人の男が叫ぶ(?)奇っ怪なアレである。 テンポ、ハーモニー、メロディ、すべてが複雑に変化と調和を繰り返す。 ケチャ体験3回目にしてやっとその制御システムの秘密をうっすら理解する。 「ケチャケチャ…」のリズムが実は数種類あること。 それらが定期的にシンクロする構造があること。 リズムセクションやメロディ担当、指揮者が数人隠れていること。 彼らがシンクロのタイミングをコントロールしているらしいこと。 …などなど、わかってしまえばひとつひとつは単純な仕組みだ。 にしてもである、どうしてあそこまで複雑にする必要があるのか、それ以前にその構造をどうやって思いついたのか? 僕には不思議だった。 例によってガイドに聞いてみたところ、逆に質問を返された。 「あなたの昨日の生活は、今日と同じでしたか? 今日のあなたと明日のあなたは同じですか? 全く同じじゃ、生きていてつまらないと思いませんか?」 ケチャの複雑さ、変化と調和の根源は、そういうコトらしい。 桝田省治
|