帯電話用ゲーム「ニンジャバトルTV」1

04/12/06


 まず、いきさつから。
 今年の8月か9月だったと思う。
 MARS事務所に、業界の知人T氏が転職の挨拶に来た。
 「実は携帯電話のゲームを開発する会社に転職しまして、で、私の部署は、携帯なんですが3Dエンジンを使ったゲームを 手がけてまして、ついてはナ〜ンか、企画をください」と。
 「じゃあ、ホームページに書き散らかしてある企画、どれでも勝手に使えば」と丁重に追い払った(つもりだった)。

 それから2週間ほどして
 「ニンジャ対戦なんですが、あれで決まりましたから。じゃ、明日打ち合わせに行きます。よろしく!」と電話は切れた。
 この時点で僕は携帯電話を所有していなかった。
 出歩かない人間には無用の長物だ。
 ボタンが、いくつどんな風に並んでいるか正確に知らなかったし、画面のサイズすら把握していなかった。
 その日とりあえず妻と息子の携帯電話を調べてみた。
 機種により、同じDoCoMoなのにボタンの数も配置も操作方法さえも違うことを始めて知る。
 頭が痛くなった。
 「共通するテンキーだけで操作できるようにしなきゃ」と決めた。

 さて翌日。
 「携帯のゲームって、だいたい3ヶ月くらいで、サクッと作るものなんで〜、あーそうそう、予算も少ないですから。ハハハ」
 「で、ウチは3Dエンジンが売りなんで、そのへんがアピールできるゲーム性でお願いしま〜す。あーそうそう、とはいえ容量が 小さいんで、あまり複雑なモンは表示できませんから。ハハハ」
 とT氏は笑った。
 頭が痛くなった。
 「マップは立方体を積み上げたような単純なもの。」と決めた。

 てな感じでスタートしたプロジェクト。
 もうすぐ、そのサクッと作る3ヶ月に近づいている。
 驚くべきことに完成は間近だ。
 さらに驚くべきことに、あるいは気まずいことに、かなり面白い。
 膨大な金と時間と人を消費した巨大プロジェクトをあざ笑うかのようで、なんだか申し訳ない…。
Alfa・MARS PROJECT