PCE版リンダ苦労話1

95/11/07 (Nifty SM-FANパティオの発言より)

シナリオA ヒューム演出についての反省

 「反省」と書いて「グチ」と今回は読みます。
 例の塔の上のシーンですが、決定的なミスは「耳輪」と「ハダの色」。この2点です。結論か ら言えば、シナリオの面白ささ理解していない急造のビジュアル関係のディレクターの仕業です。 僕が「直せ」と言っても「スケジュール的に無理」の一点張り。彼は、引き継ぎもせずに突然 解雇された前任者(ビジュアルまわりの作業進行を放置し、その遅れを隠すことのみに半年間も 情熱を傾けた凄い奴)の尻拭きとして抜てきされた、かわいそうな男です。
 彼は上司より「とにかく半年で全部やれ。」という命令だけを受けてそれを最優先で実行しま した。前任者の机を引っかき回し、わずかに残っていた断片的な資料からあそこまで作ったわけ ですから、考えようによっては大した人です。ただ前任者もどうやらシナリオを読み込んではい なかったらしく、その資料も当然「クズ」だったようです。
 このような経緯をその会社の人間ではない僕やカナビス氏は「今度はちゃんとしたディレクター がついたから」とか「大丈夫! 夏にはアップ!」とか「ごめん!来週には見せられる」とか、 電話すると聞かされていました。何かヘンだなと気づかないほど僕はお人好しではないのですが、 最後は岩崎君がいつものように何とかするだろうと高をくくっていたのも事実です。ただし 気づかなかったのは、この時点で既に岩崎君がこのプロジェクトから、はずされていたことでし た。(ということです、畑中さん) 彼が僕に紹介したローグ(C社がイケシャアシャアと盗作 したTネコの元)がリンダのオリジナルアイデアの重要な要素のひとつだっただけに、彼も無念 だったろうことは想像に難くありません。

シナリオB エモリ周辺の話

 ミナゴ襲撃時のエモリの声の加工もまた、前項のビジュアルを担当した会社の作業分担でした。 「これじゃバレバレだから直せ」という僕の願いも前項と同様に「予算的に無理」という解答 でした。
 ここまで書いてきて忘れかけてた半年ほど前の怒りがフツフツとわいてきてしまったゾお!!
 もう2度とこの件に関して僕は口を開くことはないと誓うから言わせてくれ!!
 「メディアワークスの馬鹿野郎!! 俺の3年間を返せ!!」
 少しスッキリした・・・

 シナリオBに関しては、僕自身の勝手な言い分ということは重々承知ですが、犯人がわかって からの話のほうが書きたかった。だから犯人はなるべく早くバラしたかったわけです。それを急 ぐあまり、多少いきとどかない点もあったような気もしますが、まっ、テンポがいいから、声で バレバレという点を除けば許せる範囲だとも思っています。
 で、何をメインにしたかったかと言えば、ミーム(ケンの母さん)を始めとする女性陣の人生 に対する前傾姿勢の潔さ。これを対比で目立たせるためにもエモリは人生を投げ捨てる男のキャラ にしました。
 こういうテーマを選ぶとゲームのユーザーは青少年層の男性がほとんどなので、今一つピンと こないというのはよくわかっているんだけど、「桝田省治という人間のクセだからしょうがない」 とあきらめてつきあってもらうしかないです。ちなみに天外IIでは1%もいない女性ユーザー、 とくに20代後半から30代の層には『異常に』支持されているというデータが出てて、本 人はそのことをどの誉め言葉よりも実は喜んでいます。
 これだけたくさんのゲームが出てるわけですから「こういうのもあっていいじゃん」という気 持ちで最近は開き直って作っています。天外IIの時はあから様に当てにいって少々疲れました から。それはそれで仕事としては面白いのだけど、完成したものを自分で遊んでも楽しくはない のもまた事実。ふところが寂しくなったら(天外IIの頃は結婚資金が必要だった)当てにいき ます。2月にふたりめの子供ができるので家も狭くなってくるだろうし、そう遠くはないかもし れません。生意気というかほとんど暴言に等しいですが、当てにいくのは僕にとって面倒であっ てもそんなに難しくはありません。でもあと1万5千日程度しか生きられないことを考えると、 なるべくなら自分をたのしませてやりたいなあとも思っています。両方が一致するような素材や テーマが見つかることが1番いいに決まってますけど、けっこう難しいです。
 てなことを考えてて、先日の業界騒然のアンケートの実施を思いついたわけです。顔も年齢も わかりませんが、少なくともこうしてこういう冗漫な文章を読んでくれてそれに対して発言をく ださる方たちには、僕のゲームを次も買ってもらいたいし値段の倍くらいは楽しんで欲しいとい うのが正直なところです。
 今さら言うのも何ですが
「いつも貴重な意見をありがとう!」
Alfa・MARS PROJECT