クストキング「反省文」

97/07/11


 売れた売れないに関わらず、発売後にこんなに後悔したゲームは、ネクストキング以外には今までありません。
 PCエンジンのリンダなんて「売れない」「止まりバグ」とさんざんでしたが、僕の運の悪さ は生まれつきだし、反省はしても後悔した点は、ほとんどありませんでした。
 でもNKは多くの点で後悔しています。

1:ゲームデザイン:
 もう少し腰をすえてNKで自分が表現したい面白さ(本質的なゲーム性)について考える時間をとるべきでした。
 発売してから人に指摘されて「そうか、これはRPGだ。」と気づくようではプロとして3流です。
 ノリのいい設定や“ギャルゲー+対戦”というコンセプトの目新しさにおぼれて基本的なとこ ろがイイ加減なまま、部分をデザインしたので、全体がギクシャクした感は否めません。
 方向性の整理の仕方が甘過ぎました。

2:シナリオ、キャラクター、台詞:
 けっこう評判いいみたいですが、自分としては発売前60点。今現在35点くらいの感じです。
 まず発売前の60点ですが時間がなかったせいもありますが、いくらなんでもちょっと“パターン” に頼り過ぎかなと思います。
 いや別にお約束のパターンやキャラというものはけっこう好きなのですが、キャラの描き方や、 シナリオの着地点に突っ込みが足りません。
 あと一歩の工夫でかなりのセンまでいけてたキャラも何人かはいたのに残念です。
 またあれだけの声優を集めてあのレベルの演技要求では物足りないというか、申し訳がありません。
 発売後の減点分ですが、これは過去のギャルゲーに対しての研究不足の減点です。
 ときメモを2度ほどクリアしただけで、ギャルゲーを作るなんて“熱い”ユーザーに失礼でした。
 ユーザーが何を期待して、あるいはどこに“萌え”るのか、分析を怠っていたことを認め、深く反省しています。
 続編の企画内容がエタメロに似てると指摘されても、“エタメロを知らない”なんてレベルじゃ1番になれません。
 ギャルゲー、恋愛SLGをもっと勉強したいと思います。
 「これは押さえておけ!!」という作品を推薦していただけると助かります。

3:操作性、バランス、オプション機能、演出など:
 “長い!”と”マレインで止まる”を除けば、指摘されている欠点はこの部分に集中しています。
 口パクが合ってない、王子の移動スピードが遅い、情報が見にくい、CP王子が弱いなど…。
 ハッキリ言って時間さえあれば直せたところです。
 開発が遅れたことが修正時間不足の根本的原因であることは否定できません。
 その点では僕自身も少なからず責任があります。
 でもこういう遅れは「簡単な移植」とか「キャラの乗せ換え」だけの作業でない限りは常に起 こる可能性があることも事実です。
 こういう事故が発生した時に多少発売のチャンスを逃しても納得のいくレベルまで仕上げるか、 適当なところで手を打つか。
 この判断は多くの場合、お金を出してるところ、つまりメーカーがこの決定を行います。
 で、ネクストキングでは様々な事情もあり、後者の判断がされたわけです。
 スケジュールを遅らせといて「もっと時間をよこせ!」と言えるほどの僕には根性も権限も今現在はありません。
 前にも話しましたがもっとワガママを通す“チカラ”をつけなければならないと痛切に感じています。
 あるいはそういう判断をしそうにないメーカーを嗅ぎ分ける能力を身につけたいです。

4:広報、宣伝、マニュアルなど:
 「商人よ、大志を抱け!」では、僕の提案した広報や宣伝のプランが、ほぼ採用されていました。
 いろいろな要因はありますが、結果として「商人よ〜」はあまり売れませんでした。
 で、NKではそっち関係から(熊本に行っていたせいもありますが)僕ははずされたわけです。
 僕がチェックしたものといえば、ゲーム内のOPとマニュアルの最初のラフ、間違いだらけの攻略本の校正のみです。
 僕を含めたスタッフ名の扱いが媒体によってバラバラなのもそのためですし、セールスポイントが絞り込まれてないのも 同じ理由だと思われます。
 先日、話題に出ていた個人のHPへの規正も初めて知りましたし、バグに対する対応も今のところ何ら説明がありません。
 これから作るゲームに関しては、メーカー側はいやがるでしょうが、このあたりの扱いについ ても契約書に明記すべきだなと、つまりひとつ利口になりました。

 以上、後半が言い訳がましいグチになりましたが僕自身は意外と元気です。
 前向きに考えないとやってられませんから。
 ということで、今後ともよろしく!
Alfa・MARS PROJECT