クストキングは面白いッす

97/05/10


 先週末やっと最後までとりあえず特に問題もなく、遊べるバージョンがUPしました。こうい う次第ですから雑誌社などに現在出回ってるのは、せいぜい最初の3ヶ月くらいがやっとまとも に動くモノだと思われます。
 当然のことながら、最後までおそらくはその3ヶ月を通してプレイした上で書かれた記事は今 月末売りの雑誌にさえ載りません。
 載ってたとしたらデバッグモードで強引に飛ばして前後のつながりもわからないまま、他誌を スッパ抜くためだけに載せた画面写真といい加減な解説である可能性が高いはずです(笑)。

 僕自身も先週末20時間ほどかけてシナリオモードを他人がクリアするのを横で見たのがまと もに1年間最後まで動くのを確認した最初でした。
 今週になって僕自身プレイしはじめて今、ちょうど半年終了したところです。

 で、手前ミソってヤツですが、かなり面白いです。
 定価で買っても値段の2倍近くのお買い得感はあるように思います。

 以下面白さのポイント、思いつくまま。

1:  「お気に入りの女の子を奪われると性格変わりますよ」

 特定の冒険に関して女の子がお城を訪ねて好感度の高い王子に対して、自分から「今週末の冒険にはぜひ私をお誘いください。」と 言ってくることがあります。
 というか2月以降はほとんどのイベントに対して数名の女の子が動いています。

 で、モテモテの時は複数の女の子からお声がかかって嬉しいのには違いないのですが、誰 と行くべきか非常に迷う。いやまあ、迷うのが楽しいのですが、誘わなかった女の子はガク ンと好感度が落ちるんで後のホローがたいへんなんです。

 かといってひとりも来ないとこれまた非常にさびしい。挙げ句に冒険に誘いに行って「x xxx(他の王子の名)王子を今週はお待ちしてますので。」とか言われた日には、もう次 の冒険じゃ目的そっちのけでそのxxxx王子に決闘を仕掛けてお宝の一つも奪ってやりた くなります。

 先週やってたテストプレイヤーの場合、4〜6月あたりは絶好調でひとつの冒険に5人く らい「私を誘って!」みたいに来てしまうようになってました。おかげでコンピュータ王子 が女の子の家に入るたびに「誘ったが、断られた」とかメッセージが出る始末。その時点で の選挙の中間予想じゃ、なんと12人中10人が投票すると出てたんですが、夏あたりから 誘わなかった女の子へのメンテナンスが行き届かなくなり秋風の吹く頃には4人にまで落ち ていました。

 「A子ちゃんの依頼を受けて出かけた前の冒険では、惜しくも○○○○を倒しそこなった が、今回は剣も鎧もちゃんとあるし、ズルできるアイテムも山ほどそろえたぜ」という準備 万端の状態でA子ちゃんがお城に来るのを待ってたら、結局誰も来ませんでした。冒険に出 てふと見るとA子ちゃんは他の王子に連れられて○○○○を倒しに行こうとしていて、その テストプレイヤーの彼は、よほど頭に来たらしくて、そのA子ちゃんの相手の王子をメッタ 切りにするという事件が最も象徴的でした。

 で、そのライバル王子を倒して一言、「ちッ、大したモン、持ってねェや。」って…、あ んた、それじゃタダの強盗ですよ。先週までA子ちゃんの願いをかなえるべく一生懸命に冒 険の準備をしていた優しいキミはどこへ行った!?10人もの女性から慕われてきたキミは どこへ行ったのだ!?
 …とそのテストプレイヤーのプレイを見てた時は思ったんですが、自分でプレイしてみた ら、とっても彼の気持ちがわかりました(笑)。
2:  「ここ一番ってときに限ってサイコロ運が悪くなる」
 サイコロの目がやたら片寄る週が3ヶ月に1回くらい突然やって来るんです。
 (そういうプログラムを組んでるわけじゃないですよ。)
 たとえばサイコロ2つを3日続けて振って10マスくらいしか進めなかったり、好感度U Pのサイコロを8つ投げて目の計がやっと2ケタだったり、思うようにゼンゼン行かないん ですよ。
 それがナゼカよりによってというシーンで起きるような気さえします。見る分には、笑い 事ですが、本人はため息をもらしてました。

※何かセンテンスのやたら長い、読みにくい悪文を書き散らかして申し訳ない。


 開発サイドを除くと通してプレイした人がほとんどいないので、当然のことながらその凄さに いまもって気づかれていないのがシナリオモードです。

 対戦で一応遊ぶコトのできる3ヶ月間は、その後に嵐のように起きるイベントの前フリに過ぎ ません。
 もっと下世話にいうと、NKを持ってる人の家で、対戦で遊んだ人が先を見たくて買いたくな るように作られています(笑)。
 さらに細かいコトをバラすと、最初の3ヶ月で各女の子がしゃべる内容は半分冗談に思えるモ ノまで含めて9割以上が後々の展開の伏線になっています。
 自分で言うのも何ですが、非常に大胆にして緻密な配置ですよ。

 構造上、イベントひとつひとつはサイズの小さなモノですが実に気が利いていますし、数や頻 度もうまく調整されています。
 むしろボードゲームの駆け引きや気軽さを楽しみたいという方より、面白いシナリオやキャラ を楽しみたいという方にお薦めします。
 当社比で言うとテイストはゼンゼン異なりますがストーリーに関しては「リンダ」とイイ勝負 すると思います。

 …さらッと書きましたが、「リンダ」とタメ張るお話がついてる『ボードゲーム』って想像で きます? 僕も形になるまで不安でした。
 これをやすやすと1発目で達成しちゃってるから、「桝田省治はズルイ」って言われるんです。

 大丈夫!! 買いなさい!!
 だたし「ギャルゲー」のお手軽さを求めるべからず。


 ずっと前にうけるエンターテイメントは以下のような要素のバランスと頻度が一定の割合で必 ずある、というお話を書いたと思います。
     
  • 達すべき目的がハッキリしている。
  •  
  • 行動の動機が多重化している。
  •  
  • わかりやすいユーモアがある。
  •  
  • ソフトなSMや残虐性がある。
  •  
  • 健康的なお色気がある。
  •  
  • おナミダ頂戴のシーンがある。
  •  
  • テンポがよい。
  •  
  • 達成感、カタルシスが大きい。
  •  
  • エンディングに希望や未来が約束されている。
  •  
  • 適度な緊張と弛緩が繰り返し来る。

 まッ、だいたいこんなトコです。
 いつも自分で作ったゲームを完成後再チェックするのですが、ネクストキングは、この点にお いてリンダよりすぐれています。
 ほぼ満点であった天外IIと同レベルかそれ以上です。いやもちろん、ここで問題にしてるの はバランスと頻度であって、絶対的なサイズではないですよ。

 なんと言うか、2、3年後の僕のプロフィールを書くとしたら“ネクストキング”は、売れた 数に関係なく、必ず入っているだろうナと思います。

 プロとしては納得のいくレベル、あるいはこのジャンルで追随者が出たとしても5年近くはネ クストキングより面白いモノは作れっこないという自負です。
 さらに言い方を変えれば「こういうアプローチがあるのに気づかなかっただろ!? どーだ、 ヘヘン!!」てな感じですね。
Alfa・MARS PROJECT