外IIで削った心残りネタ

96/01/05


 やれそうなことは、だいたいやった「天外II」ですが、作業量と制作期間のバランスを考慮 した結果、削った演出やイベントも当然ありました。
 それらの多くは、実現するためのパワーに比べて「うけ」の効率が良くない、あるいは確実性 を欠く、またはいたずらに難度が上がるといった理由でカットされたものです。
 その中には素材としては非常においしいネタも数多くあり、いくつかは「Linda3」「商人よ、 大志を抱け!」等で使われています。
 今回は、その没ネタを一部紹介します。


(1)カブキの生い立ち
 超女グセの悪いカブキにはそうなった理由が設定としては存在しました。子供の頃、彼を捨て た母親と再会するイベントを丹波の国辺りで挿入する予定でした。
 しかしながら、せっかくのキャラの勢いに文字通り水を差す(どうやってもウエットな場面に なるわなあ)危険性があるので削りました。
 表層的なカブキの派手な言動と行動だけで十全に「うける」だろうという(今から思えば詰め の甘い)読みがありました。
 こういう裏設定をこっちの事情も知らずに、鋭く突いてくる困ったお客さんがまれに混じって るから、僕としてもなかなか手を抜けなくて有り難いわけです(笑)   松田篁さんのせめて 半分の感性があれば、風雲ナントカ伝ももう少しマシになっただろうに・・・。いや、まあ、僕 には関係ないですけど。


(2)季節
 やっぱり四季を愛でて暮さないと、せっかくこの国に生を受けた者としての権利と義務の大半 を捨てたようなものです。
 ちなみに我が家の長男の名は「夏近(ナツチカ)」。子供の名に季節を折り込んでしまうほど の僕が、ジパングを舞台とする「天外II」で四季を再現しようと試みない訳がありませんでした。
 秋の高山祭りで始まり、京都の送り火で幕を閉じる、KWBさんのお好きな「初夢」イベント を除くと、頭と尻(ケツ)にしか実際には季節の演出は、ほとんどありません。
 京都はその歴史からやや過剰気味に人工的な季節感が演出される都市なので、ゲームのデフォ ルメされた表現とは相性もいい。京都の四季を京都以外の地域に住む田舎者(江戸っ子なんての はその筆頭)にももったいないが味合わせてあげようと考えました。京都には紅葉も雪も花見も 鴨川踊りも入れる予定でした。
 京都を起点として地方遠征に出かける、ワザとらしいシナリオの構造は、京都の四季の移り変 わりを見せるための苦肉の策でした。ああ、それなのに、それなのに・・・
 で、まあ四季はぜひやりたかったので「Linda3」には季節があるというわけです。新リンダ では、マップ上で雪も雨も降る予定です。エターナの桜ももっと美しく咲くはずです。
 僕はひどい花粉症なのでこれからの季節は気が重い・・・。桜の開花が待ち遠しいかぎりです。

Alfa・MARS PROJECT