回コッキリの人生なんだしせいぜい悪あがきしなきゃーね。

97/07/01


 雑誌の紹介を見ると僕が作るゲームは“斬新・新要素満載・一風変わった・今までにない”な どの形容をしていただくことが多いようです。
 でも僕自身は実はそうは考えていません。と言うのも、ここ数年の発売済み、今年発売予定、 現在開発中のモノ、併せて6タイトルほどありますが、このすべてがひとつのネタの焼き直しに 過ぎないというコトに最近になって気づいたからです。  

さて、クイズです!!

 そのたったひとつのネタとは何でしょうか? 6タイトルの簡単な説明とヒントをこの後に書 きます。
 共通点を捜し当ててみてください。

・天外魔境U(92年発売)
 このゲームの主人公はオープニングの秋の高山祭りからエンディングの夏の京都の送り火まで の約1年を旅します。その目的は孵化しつつある悪神の復活を阻止すること。


・リンダキューブ(95年発売)

・リンダキューブアゲイン(今秋、SCEより発売予定!!)
 8年後に巨大な隕石が衝突する運命の惑星が舞台。その星の動物たちを1つがいでも多く“箱 舟”に積み込み宇宙に脱出するRPGです。


・商人よ、大志を抱け!(95年発売だったと思う。)
 モチーフは海洋貿易。1週間で商品価値のなくなる果物や魚介類などの生鮮食品を仕入れ、 遠くの港まで運び、利ざやを稼ぎます。桃鉄と同じいわゆるボードゲームです。


・ネクストキング・恋の千年王国(ちょっと発売が遅れましたが、そろそろバンダイから出てい る……はず。発売されてるとイイなあ。)
 プレイヤーは王様候補の4人の王子のひとり。1年後の選挙に向けて有権者である12人の美 女のハートを射止めるべく、プレゼント攻勢や冒険の活躍で自分をアピールします。


・俺の屍を越えてゆけ(来年中には発売できる!! ……かなあ。)
 世代交替を繰り返し、遺伝子操作で超人を生み出し、巨悪を打ち倒すシミュレーションRPG。 このゲームのキャラクターは寿命が来れば、どんなスーパーキャラも子供を残し容赦なくどんどん死んで行きます。


・RPGタイトル未定(とりあえず企画は通ったのですが、実はまだゼンゼン手をつけていません。)
 1年後の死の宣告を受けた男。その残された1年の生きざまを描きます。もちろんエンディングはお葬式。
 

では、クイズの答えの発表です!!

 この6タイトルに共通する特徴は、有限な時間の中でプレイヤーに悪あがきに近い行動を強要 している点にあると、僕自身は分析しています。
 リラックスしたくて高いお金を出して買ったのに、たかがゲームで逆にストレスが増える。い やいやまったく、ヤなゲームばかり。ご迷惑をおかけしたお客様には、たいへん申し訳なく思っ ています(ウソ)。
 僕がなぜここまでこのひとつのネタに執拗にこだわるかも、ついでなのでお話ししておきます。
 92年の4月に桝田家に最初の子供が生まれました。出産に立ち会い初めて長男を抱いたとき、 僕は生まれて初めて確信したのです。
 逃れられない自分の死を。
 で、その瞬間にタイトルの通り、『どうせ1回コッキリの人生なんだし、せいぜい悪あがきし なきゃつまらんわナ。』と苦笑いしながら、勝手に決意したのでした。
 限りがあって後戻りできないことを前提に考えると、後悔や苦汁や辛酸までもナニもないより は100倍面白い!! 僕はそう思っています。
 だからって、プレイヤーにそれを押しつけるナ!、との声もあります。知ったこっちゃありま せん(笑)。



プロフィール
 ネクストキングのテストプレイヤーたちの感想文から。シナリオが面白い! キャラクターが 魅力的! ○○○がかわいそうで泣いた… ほめられて嬉しいけど、これってボードゲームの感 想じゃないよなあ。まッ、いいか。
Alfa・MARS PROJECT