『現役丸の内M商事OLヌード』グラビアに隠された3つのマスク
97/07/01
ネクストキング(バンダイ)とリンダキューブアゲイン(SCE)がやっと手を離れました。
本当は少し休みたいところですが、スケジュール的にかなりヤバイのを2タイトルも抱えています。
のんきなことを言ってると、担当プロデューサーから首を絞められかねません。典型的な貧乏暇なしってヤツです(笑)。 で、今回はその2タイトルのうちの片方にまつわる雑談。まだ正式発表されてないので、読んだら なるべく忘れてくださいね。 このゲームを一言で表すと“マスク”を主要モチーフにしたRPG。 一般にマスクには匿名性と超能力を含めた神秘性という二大特徴があります。このふたつの特徴を RPGの文法に乗っけて、シナリオ・システムの両面から再現し、エンターテイメントして みようという趣向です。 てなわけで、近ごろ“マスク”についてボーッと考えていました。 で、目に留まったのが… 『現役丸の内M商事OLヌード。』
春先の男性向けの雑誌のグラビアの定番企画。ワザとらしく両手で顔を隠してるアレです。 なぜコレに興味を持ったかと言うと、モデルの女性の身体が個人的に好みだったという以外にも 理由があります。ここには目に見えないマスクがいくつも隠れていることに気づいたからです。 代表的なマスクを3つ挙げます。 A:“現役女子大生・OL”というレッテルやブランドのマスク。 B:ヌードに対して平常時の“着衣”というマスク。 C:素顔を隠している“両手”というマスク。 このうち明らかに外されているのはBの“着衣”のマスクだけです。 この3つのマスクの関係がよくわかるように、前記のA,B,Cのマスクの外れ方を試しに変えてみます。 まずAの“現役〜”という解説がなかったとします。どこの誰かもわからない顔を隠したヌード…。 よほどプロポーションが良ければ別ですが、ワクワクしませんよねェ。 次にBのヌードに“着衣”のマスクを被せてみましょう。会社の不正行為とか芸能人のM・H の夜のテクは最低とか、その手の暴露話で別のマスクを外してもらわない限り、あまり興味がも てません。 続いてCの“両手”をどけてもらって素顔を公開したとします。単純な確率から言えば、とく に美人でも何でもない普通の女性の顔が現れるはずです。これじゃ、商品価値が半減。万が一た とえ美人だったとしたら、Aの“現役〜”の付加価値が怪しくなりマイナスに作用します。 どなたが最初にこの企画を捻り出したのかは存じませんが、絶妙のバランスですね。それに安上がり。 さらに注意しなければいけないのは、このA,B,Cの条件がページの上でのみ“らしく”成 立していること自体が4つ目のマスクDを形成しているということです。 実はこのモデルの女性は誰でもいい。小遣い稼ぎの専門学校生でも主婦でもゼンゼンかまわな い。ただ裸になり顔を隠して“現役〜”とレッテルを貼りさえすれば、それでOK。 消費する側にしてもレッテル通りに、とりあえずだまされてあげられる要素がいくつかあれば、 それで十分。男性雑誌のヌードグラビアに真実なんか誰も期待していません。ホントか否かを 調べる暇人もほぼ皆無。 複数のマスクを被ったうえで、敢えてそのいくつかを外すことで生まれるリアリティ。この“ お約束”が現代の“マスク”をエンターテイメントとして楽しむキイワードなのかも知れないな あ…、とヌードを眺めつつ思った今日この頃です。 ほんじゃまた、来月!! |