ドラマを生みやすくするシステム、その可能性
99/7/07 桝田省治
BBSで俺屍の「1番印象に残っているドラマ」というテーマで投稿を募ってみた。b ちょっとしたクイズや○×で答えられるアンケートとは違う。 それなりの文章を書かなければならないのでけっこう面倒だ。 数は集まらないだろうと予想していたら、意外なほど来て少々戸惑う。 その内容も状況を想像するに確かにドラマチックであり、共感できる ものがほとんどだ。 作者としては嬉しいが、同時に「!?」とも感じた。 「!?」の理由は、各人のドラマの中身である。 そこに書かれている内容の大半は、既存のシナリオ重視の1本道RPGが 設定やストーリーによって演出してきたドラマとよく似ている。 似ていることは問題ではない。 シナリオがなくてもドラマが生まれていることが僕には問題だ。 俺屍では「ドラマを生むシステム」を意識してゲームデザインした。 が正直言えば、ユーザーの多くが求めるのは“物語やキャラ”であり、 それに特化したシナリオ重視のRPGには、ドラマチックという点では 結局のところ及ばないだろうとも思っていた。 でも必ずしもそうではないらしい。 既存のドラマを分析してその成立要件が揃いやすいシステムを作れば シナリオがなくてもドラマはかなり高い確率で頻繁に生まれる。 さらにこのシステムが働きかけたことにより紡がれるドラマは、1本道の RPGにくらべてディテールや状況が実に多様という特徴がある。 また強制された感が薄いためか、プレイヤーの心の防壁は低く、ドラマを 自分のものとして素直に楽しんでいるように思えた。 つまりは、僕が考えた「〜という点に留意しつつ、ていねいにシステムを 構築すれば、シナリオなしでもドラマは発生するはず」という仮定は、ほぼ 証明されたわけだ。 さて次のステップだ。 俺屍ではRPGという構造上バトルや人の生き死に周りのドラマがほとんどを占める。 が、先の方法論は、恋愛ドラマやサスペンスドラマなどでも同様の応用が 理屈の上では可能なはずだ。 僕の興味は次の実験に移っている。ようするにこのテーマはもう飽きた。 誰か試してみてくれ。 桝田省治
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