No.08ワタナベホマレさん

 「普通のPPGに飽きた人へ」あんまりRPGっぽくないジャケットを手に取って裏返すとたしかこんな感じのコピーがリンダキューブアゲインにはついていたと思います。当時の自分(中学生)はまさにそんな状態で、ゲテモノに手を出すような気持ちで購入したのを覚えています。
 天外魔境どころかPCエンジンの存在すら当時は知りませんでしたが、説明書に載せられた桝田さんの自信満々な口ぶりが「この人…そしてこのゲーム、タダモノでは無いな…。」と感じさせました。
 実際にタダモノではなかったのです!オープニングからアニメーションに圧倒され、残酷シーンにおびえながらも狂気のシナリオには今までのRPGにはなかった類いの興奮を覚えました。シナリオAとBのホラーな内容には衝撃を受けましたが、さらに体と心が震えたのはシナリオC。AとBでは不幸すぎるほど不幸だったネクやサチコ、エモリ教授、パンハイム、そして愛するリンダが皆拍子抜けするほど幸せになってる!!さらに同じゲーム内でパロディが展開されることの斬新さに驚き、そしてかなりニヤニヤと、ときにはゲラゲラと笑いました。

 この時点で自分はとろけるほどリンダキューブにゾッコンでしたが、もう一度シナリオAからプレイし直していくと、システム面や細かいところにもこのゲームのすごさを感じました。
 たとえばかなり斬新な発想のシステムにも関わらず、意外と素早くなじめてしまうことです。シナリオがA、B、Cと進むにつれて行動範囲が広がる流れや理不尽なフリをしてよくできた動物の配置、シナリオや一人一人のセリフまでがプレイヤーを効率よく学習させるために組み立てられている感触を受けます。
 ここで自分が特筆したいのは「イヌ」の配置です。イヌは最初の町から南下してすぐのところにいるにもかかわらず、初期レベルでは全く歯が立たない強さ。しかも群れで現れるし。
自分が初めて負けた動物はレベル2ぐらいで戦ったイヌです。「なんでこの位置にこんな強いのがいるんだ!」四方をイヌに囲まれた絶望とともにそう思った当時の自分。しかし、今思えばコレが「リンダはほかのRPGとは違う!」という言葉を体感した瞬間だった気がするのです。ブタとダチョウをいたぶっていたプレイヤーが言葉でなく身をもってリンダのルールと自然の厳しさを知るのです。こういう学習のためのワナが随所にしかも高確率でかかるように丁寧に、残酷かつ親切に仕掛けられているのを感じます。そしてシナリオAをやっているときには「100種なんて絶対無理だろ!」とおもっていたのがCをやる頃にはすっかりこのゲームに適応して意外となんとかなっちゃったりするのです。すごいゲームだ。

 結局「動物集めは楽しい!」「リンダは最強のヒロインだ!」この二つに行き着く気がします。未だにリンダキューブアゲインは自分の一番好きなゲームです。
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