No.62琥珀の弓張月さん

中学に入ったばかりの頃、某誌付属の体験版で「リンダキューブ・アゲイン」をプレイした。
面白かった。ストーリーに引き込まれた。
ただでさえRPGが好きな私は、単調にならず「イヌ強すぎる…」「ゾウモツにダメージいかねぇ…」と、あらゆる局面でケン達の「実力」と対峙できるこのゲームに魅了されてしまった。
狩りに慣れるまでは狩られる側である、ということがプレイヤーの成長をも促し、充実感を与えるからだ。
加工や解体・動物収集など、当時ではほとんど無かったシステムがたくさん盛り込まれていた点も私の目を輝かせた。
私のコレクター魂に火を点けてしまったのだ。
ストーリーも初っ端から急展開で私の心を離さない。
全ては理解できない中学生の私でも没頭してしまうほど。
…プレイ時間のほとんどは動物狩りや装備加工に費やされていた気もするが。

寮で相部屋となった私の後輩に薦めた際にも、「リンダ」の魅力は際立っていた。
貸した数日後、狂ったかのようにプレイし、シナリオAを終えた後輩が

後輩「これ、返します。」
私「あれ?他のはやらないの?」
後輩「いや、リンダが好きになっちゃったんで自分で買います。」

全くもって恐ろしい女である。ケンや私だけでなく、後輩までも手玉に取るとは。

「なぜ野営でティッシュが無くなるのか」が解らなかった私が、こうして歳(だけ)を重ねることで「理解できるようになった『リンダ』の魅力」もある。
狩りの手法だけでなく、ストーリーの読み解き方・細かいネタに至るまでも、「リンダ」はプレイヤーの成長に応じて魅力を膨らませるのだ。

今では携帯電話にも軽々収まってしまう「700MB」の中に、数々の高揚・シリアス・快楽・ネタetc.が「ネオケニア」という惑星規模で詰め込まれている。
プレイヤーの希望通りに道草を食ってくれる「死神」と刻々と変わる生態系のように、プレイヤーの変化と共に、魅力を変化させるゲーム、それが「リンダキューブ」だと思う。

そして言うまでも無い事だが、「異色の変なゲームではあるけどねー。」と言いつつ多くの人にこのゲームを薦めたい。
プレイしたが最後、その人が自分からその異色の滝つぼに飛び込んでいくのが最高に面白いから。
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