■プロになるのは大変でしたか?

--「色々と苦労もしたけど、運が良かったなぁと思います。」


――ではゲームについて一通りお聞きしたところで、次は桜瀬さんご自身についてお聞きしたいのですが。
 絵の世界でやっていきたいと思ったのはいつ頃ですか?


 なんとなく憧れていたのは小学校の低学年くらいかなぁ。おじいちゃんもお父さんも、仕事じゃないんですが絵を描くのが好きな人で。そういう環境で育ったんです。昔の家のトイレには左にガンダム、右にキャンディキャンディの絵が描いてあったんですよ。

――ナゾな家ですね(笑)。

 お父さんが描いたんですけど(笑)。お父さんは商業デザイン的な絵を描く人だったので、模写も上手いんですよ。絵本を見て描いたみたいで。わたしには弟がいるんですが、幼い頃トイレに行くのを怖がっていた時期があって、それでお父さんが「トイレに行くとガンダムがいるぞ〜」って、弟のために描いたんです。すごく綺麗なガンダムが描いてあったんですよ、ポスターカラーで白壁に。そしたら更に下の妹が「わたしにもキャンディキャンディ描いて〜」って言い出しちゃって。それで仕方なく …。

――絵を描くことが自然な環境だったんですね。

 だからわたしも自然と小さい頃から絵ばっかり描いてました。幼稚園の頃ってお絵描き帳をもらうじゃないですか。で、一冊終わると新しいのがもらえるんですけど、誰より先になくなって、もらいに行ってましたからね。家の壁や襖にも描いてました(笑)。
 小学校に入ると、もう真似して漫画っぽく紙に描いてホッチキスで止めて、連載のつもりで描いたり。

――じゃあプロでと思い始めたのも早かったんですか?

 ううん、そんなことないですよ。本当に漫画家になんかなれるわけがないと思ってたし、その方法も知らなかった。大学出る頃に就職を考えて、その時に本気で絵で食べて行きたいなぁと思ったんです。だから大学でかな、最初にプロでって考えたのは。

――プロになるのは大変でしたか?

 色々と苦労もしたけど、運が良かったなぁと思います。きっと、絵に上手い下手ってなくて、どれだけ自分の感性が人に受け入れられるかだと思うんですよ。だから、たまたまそういう人が多かったわたしはラッキーだったのかなぁって。

――桜瀬さんのイラストってすごくバランスを考えられているなって思うんですよ。商業デザインというか、服飾の勉強とかもされてたんですよね?以前それをうかがってすごく納得しちゃったんですけど。

 服飾の勉強は高校ですね。バランスは、いつもすごく気になります。でも、今の仕事の中では本当に着られるようなものを、とまでは考えてないんです。ゲームやアニメだからこそ楽しめる奇抜なデザイン…っていう考え方を大事にしたいなって。
 服飾を勉強している時は、面白いものや奇抜なものを思いついても、実際に作ることを考えると難しくてやめちゃったりしてたんです。だからこそこういうところでは好きにやらせてもらってますよ(笑)。

――そこをコスプレイヤーの皆さんは気合い入れて作ってくると(笑)。

 ね、だからスゴイなぁと思うんですよ。自分も勉強してるからこそ、その難しさも分かりますしね。

――ちなみに、絵の仕事をしていなかったら何をなさっていたと思います?

 なんだろう…ちょっと英語の先生をやってたので、そのまま続けてたかなぁ。異文化が好きだったんですよね、英語に限らず。逆に外国で日本語を教えるとかね。そういう言語の仕事か、でも絵が好きだから、きっと仕事じゃなくても絵に携わったことをしてたと思います。
 そうそう、『暴プリ』はちょっと中華のテイストも入ってるんですよ。大学の時にちょっと中国語をやってたので。

――ライライの呪文なんかもそうですよね。

 「ライライ・イェン・ロン・ウー」は桝田さんが考えたんですよ。提案はわたしだったんですけど、初めは「ライライ・カムヒア」だったのかな?でもピンと来なかったらしくて、それでわたしが「中国語は?」って言って。

――あの呪文の意味はどんなものなんですか?

 ライライは「来たれ」、イェンていうのは「焔(ほむら)」、ロンは「龍」、ウーは「舞う」っていう意味。

――じゃあゲームをご自分でプレイされて、これはヒットだった!っていう所はありますか?

 思わずプッと笑っちゃう所はいっぱいあるなぁ。関さん(シオン役の声優、関智一さん)のシオンはかなり笑えますね。ビックリしちゃった、最初聞いた時。

――イメージ違いますよね!関さんてもっとカッコイイ二枚目系キャラの声って感じじゃないですか。

 三人で大切な巻物を燃やしちゃって、アッシュとルージュがシオンを置いて逃げちゃうとこ、なんかわたしはあそこが好きで(笑)。もう何度見てもクスってなっちゃいます。

――主題歌についてはどうですか?

 すっごい気に入ってますよ。女の子のボーカルで、とにかく元気があってカワイイ感じがいいって言ってて。だから聞かせていただいた時は「もうバッチリ!」って思いました。
 そうそう、彼らはシナリオを全部読んでから書いたんですって、あの曲。だから伝わってくるものがあるんですね。

――では最後に『暴プリ』を楽しみにしてらっしゃる皆さんに何か一言お願いします。

 暴プリは面白いですよ!このゲーム、わたしは大好きです。作ってる本人が面白いって言えるってことは、実は凄いことだと思うんですよ。だってこれだけ大勢の人間がそれぞれのパートを請け負ってるから、最終的に自分が気に入るかって難しいところじゃないですか。
 でもわたしはこのゲームのシナリオが好きで、戦闘システムが好きで、キャラクターデザインも頑張った。総合的にとてもいいゲームになってると思うし、わたしがユーザーだったら、お金出して買って後悔はしないと思う。だからオススメです!





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