新世紀エヴァンゲリオン2 戦陣記

戦陣記(16)
16 戦術の復活(4)
 ゲームにおける戦術の復活とは、ユーザーの能力に応じてゲームの内容が変わる事を意味する。
 遊び方を固定してユーザーをも固定するのではなく、ユーザーを選ばずにその運用で対処するというゲームデザインである。

 エヴァンゲリオンというワードのみで集まった人々は、実際のところゲームの趣味においては千差万別である。とは言え一部の人だけ相手にするシステム、つまりパズルやアクション、RPGでは、商業の本道から外れる。手を広げるのが商売の常道というものである。

 ここで、アルファのゲームデザインとエヴァンゲリオンとバンダイが集まる形で、エヴァンゲリオン2が生まれる直接の契機となった。

 このまま座して死を待つよりも、あたらしい何かを求めて攻撃することの方がいくばくかの意味がある。アルファがそう思い、バンダイがそう思い、エヴァンゲリオンそのものがそう思ったから、このシステムは設計されることになったのである。

 目指すはプレイヤーがその遊び方を変えることで、ゲーム内容が変化するシステムである。ジャンルを越えて、ゲーム的なエンディングを見ることをも目的としない、その上の何かを目指すこととしたのである。

 「何か」には、まだ名前がない。それはユーザーかも知れないし、ゲームシステムかもしれない、一つの心理状態かもしれない。だがきっといいものに違いない。我々開発関係者は、今もそう思っている。
 問題は「何か」を決して優秀でない我々が作り出せるのか。それだけである。

 平地における重騎兵の単純突撃、大鑑巨砲の殴り合いを越えて、装甲の薄い、騎兵ですらない兵が、戦闘に勝利する時代が来る。それは森を友にし、沼地を戦場とし、相手の不得意に衝撃を向ける、体格に劣る兵が少なくない損害を出しながら集団で勝利するシステムである。

 戦いというものは美しくはないが、だからといって醜い訳でもない。

 次回は、エヴァンゲリオン2の戦い方である。
'16' 2004.1.13.Tue. 

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