新世紀エヴァンゲリオン2 戦陣記

戦陣記(20)
21 人を隔てるもの
 エヴァンゲリオン2でのフライトエンベローブ、つまり自由度を駆使することが出来、かつ、そこからおもしろさを引き出せる人間と、そうでない人間を隔てるものは、他の全てと同じように、はっきりしない。

 別に特別な能力で人が選別される訳でもないし、こうしたものはこのゲームに限らず、プレイ時間に影響するものでもない。つまりは特定の何かで人が隔てられる訳ではないのである。
 こうしたものの場合、複雑な要因がからまってる。一個直せばいいという訳でもないし、全容をつかむのは困難である。
 
 こうした時は歴史か数学に答えが書いてあるものである。
 歴史では模倣と学習が、数学では確率論と統計が、それぞれこのケースに対抗法を提供してくれる。

 方法はさして大変ではない。
 多くの適格者からデータをとり、そこからエッセンスを抽出して、マニュアル化すればいい。マニュアルの頻繁な改定をしつつ、提供すれば運用は改善される。

 歴史上、この手法で最大の勝利を得たのは、第2次世界大戦時のアメリカである。
 世界最高の指揮官の群は、当時ドイツにあったといって間違いはない。士官においてはなおさらである。
 兵や下士官の練度で言えば、我が日本もそう悲観するほどでもない。

 少なくとも、徴兵制がなく、志願しても訓練期間が13週間(陸軍)しかないアメリカ人が、勝てると考えるものは少なかった。

 さらに言えば、近代戦は技術の集大成である。整備するにも動かすにも技術は必要で、なかでも砲兵に関して、その運用は専門的過ぎて、付け焼き刃ではきちんと運用することは難しいとされた。
 が、しかし、アメリカは短い訓練期間の兵と士官で、勝った。単なる勝ちではない。完勝した。物量で勝るから米軍が勝ったと言うが、日本もドイツも局地的に数の優勢を得て行った作戦においても米軍に敗北している。
 これはその基本に、物量によるエンベローブの広さがあった上で、運用がこの自由度を駆使して勝ったことを示している。
 マニュアルが優れていれば、それだけでただの民間人が簡単にエキスパートになりえるのである。
'20' 2004.1.20.Tue. 

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