新世紀エヴァンゲリオン2 戦陣記

戦陣記(21)
22 基本的戦術と組織化
 エヴァンゲリオン2は単純なコマンド数とその組み合わせ順列では従来のゲームを完全に超えることが設計段階で予測されたが、だからと言ってそれは単に他のゲームより多くの自由度を約束しているだけのことであって、直ちにゲームが優秀であることを示しているわけではない。

 コマンド数とその組み合わせ順列を資源(リソース)としてゲームそのもの(その内容)が組み上げられるとすれば、物量戦においてこのゲームは無敵である。ただ単に組み合わせだけで言えば、地上にあるすべてのゲームより順列は多い。
 が、実際物量が多いからといって勝負に勝てるわけではないこと、古今の歴史が証明し、またこのエヴァンゲリオン2自体がそれらに対するアンチテーゼとして生まれたものであることは、これまでに述べた。

 重要なのは戦術、なかでも教典(ドクトリン)である。
 良く戦術に対しての戦略の優位性を訴える者は多いが、それは歴史上の統計結果を完全に無視している。ありていに言えば庶民的な嘘である。

 アレキサンドロス以下、ピュロスもハンニバルも、ナポレオンもチンギス・ハンも北方の流星王も織田信長も、最高の名将ベリサリスも、完全な戦略的優位で戦った例はない。戦略優位性は戦わずに勝った例を含めない限り、立証されえないのである。逆説的に言えば、実際の交戦ケースでは戦術、特に教典の有利の方がより勝率に影響する。

 これは、まったく新しいアプローチである本ゲームに関して言えば、完全に不利なことを意味している。同じ人間が運用する前提で言えば、戦術が固まった、慣れた普通のゲームの方が、エヴァンゲリオン2より面白いと判定される可能性が高い。

 だがそれは序盤だけの話である。
 戦術が研究され、ドクトリンが完成すれば、本来の強みが発揮され、単純勝負で完勝する可能性が高い。作成時期から考えて、あらゆる点で新型の方が技術的に優れているので、よほどのことがない限り負けようがないという考えである。

 このケースに持ち込むための最善手は、最速で戦術と教典(ドクトリン)を確立させることに尽きる。
 この最速を狙う場合の最善は、真似とフィードバックである。

 戦訓を蓄積し、そこから対処法をユーザーにフィードバックする。
さらに新たな戦訓があればこれを即座にフィードバックする。
これを高速でやればエヴァンゲリオン2はウエポンシステムとして完成度が上がる。
 過去例で言えば、RPGが運用形態を定めるまでに10年かかった。今回は同じ事を1年未満で行う。以前と今ではゲームデザイナーも、ゲーマーも、質も環境もまったく違う。昔できなかった数々も、今なら出来る。今なら。

 フィードバックは今回のケースでは攻略ファイルと掲示板を使う。
 たまたま最良の条件がそろったケースのデータを取って、即時それが真似できるようになれば、人間の強さである柔軟性は最大限に発揮される。一例でもあれば人間は似たようなケースに対して、類推機能を用いて、ほぼ全部の類似ケースで勝利に持ち込める可能性が高い。
'21' 2004.1.21.Wed. 

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