新世紀エヴァンゲリオン2 戦陣記

戦陣記(8)
8.基本計画(4)
 こうして、ゲームの売上が下がる原因を調査開始して1月、ほぼこうではないかという原因を捜し当てることに成功した。

 それは雑誌である。

ゲーム雑誌がミドルクラスのゲームソフトの売上を確定している可能性が異様に高い。

 正直に言えば、我はこれを、最初逆だと思っていた。
ゲームが悪い −>客が離れる−>雑誌の売上も落ちるというサイクルだと、深いことも考えずにそう信じていた。言い訳ではないが、作り手としては自然な発想であると思いたい。

 が、ここから先がおもしろいところで、この考えには落とし穴があった。広告宣伝媒体としての雑誌の影響が少ないところは売上の落ち方もゆるやかだったのである。
 詳しく言えば、ミドルクラス(10万本以上45万本未満の売上のゲーム)以外では、ゲームの売上低迷の影響が異なる。
 大きなゲームについてはTV宣伝やアニメ連動などのせいか、売上低下の影響が少なく、小さなゲームに関しては全滅か売上変化なしの不可思議な現象が起きていたのである。売上変化なしの小さなゲームを見て見ると、ほぼ全部がネットでの評判によってスロースタートで売上を延ばしている。
 どちらが先かと言えば元々はゲームが先だと今も思うが、数字を見る限りは明らかにミドルクラスのゲームの売上を左右しているのはゲーム雑誌である。

 考えて見ればゲームは基本的に試用販売されないので、中古を除けば作品の出来が初期出荷やその後の売上に影響することは少ない。
 試用販売(体験版)が少なく、その上ゲームそのものが高価なので購入者は必然的にゲーム雑誌を頼りにするから、そこで流れが断たれれば、連動企画やTVCMを打てないソフトは知られることなく姿をけす可能性が高い訳である。

 ほぼ同様の現象は過去車やカメラでも見られ、さらにそれらと比較してゲームは具体的に性能を表すことが出来ないので、ますます雑誌の影響は大きいと思われた。

 さて、ここまで考えて、我は愕然とすることになる。

 ゲーム制作側はどうアプローチするべきか、そこで思考停止したのである。
'8' 2003.12.19.Fri. 

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