9.基本計画(5) 先日の話、続く。 ゲームが試用販売をあまりやらない商品である以上、あるいはその性能や性格が分かりにくい以上、さらに言えば当たり外れがある以上、消費者はその商品を買う時慎重になる。 その時強い味方となるのが雑誌である。ゲームに欧米のPCゲームのような試用販売がはやらなかったのは、雑誌の力が大きい。 宣伝、告知についても同様である。中堅にして主力のゲームはゲーム雑誌と共に歩んで来た。
ところが、雑誌がなんらかの原因で売上が下がると、主たる宣伝、告知媒体を雑誌に依存する中堅ゲームは、これと歩調を同じにして、落ちてしまう。現状におけるゲームの低迷における一因がこれであることは、先に述べた。
これに加え、雑誌はもう一つ問題を起こしていた。それはカテゴライズによる売上のキャップである。 画一化された紹介と誌面は中立的な立場での比較を可能にし、同時に少ない誌面で多くの作品の紹介を許したが、同時にゲームの画一化と対抗戦術を許した。 分かりやすく言えばほとんど人に遊ばれていないのに判断されるゲームや、雑誌受けするゲームを作ることに制作側が腐心するようなことが起きたのである。 前者はゲームの売上を決め、後者は間違った評価を読者に与えることになった。こうして、内と外の両方から締め上げが発生し、ゲームの様式が決まっていった。コンピューターゲームは本来新規性を求める遊びなのに、である。
この問題をゲーム開発側が解決するには次の手法がある。 1.雑誌によらない告知を行う。(TVCMやWEBなどである) 2.優良な誌面になるよう雑誌に働きかける。
いずれにしてもこれらはゲームの制作そのものとは関係ない。 これでは開発を担当するアルファとしては、何の対処も出来ないに等しい。 しかし、対処しない限り売上は伸びない。
折しも、ガンパレードマーチ苦戦のころである。 この時はこの研究結果を元に大幅にWEBを強化する形で雑誌以外の告知に奔走した。結果、多くの助けを持ってゆるやかであるが確実に売上がのびていったのは皆さんご承知の通りである。
しかし、これではゲームの設計ではなく、ゲームの広報になる。 どうしたものか、エヴァンゲリオン2開発において最大の問題はこれについてどう向き合うかであった。 |