2.事件に関する非一般報告その1
翌日。午後3時30分頃。
我らの主人公、大木妹人(おおき まいと 17歳男)は、鼻歌まじりにエプロンをつけて荷物を運んでいた。場末のコンビニの中での話である。
「マイト。悪いがそいつも裏にやってくれ。」
「あいよー。」
清涼飲料水が入った大きなペットボトル1.5リットル12本が入ったダンボールの箱9個を持って、ややガニマタで歩く我らの主人公、大木妹人(おおき まいと 17歳男)。
「若いってのはいいね。」
無意識に煙草を収めた箱を取り出そうとしたバイトの兄ちゃんは、顔をしかめて手をひっこめた。店内禁煙であった。
直後、バイトの兄ちゃんは目から火花を散らして頭を押えた。杖で頭をドカンとやられたのである。
「何をやっとる。」
「…痛ってぇー!なにすんだよ!」
「働かねば強くなれんぞ。」
人生の年輪を沢山経た後でしかえられない、なんとも味のある笑顔があった。
「客に説教されたくねぇよ!」
「あーヤじゃヤじゃ。バンドが受けんから老人いじめか。世も末じゃ。いや終るかも。」
「客から店員が殴られるのもアレだぞ! 大体強くなんかなりたくねぇよ!」
この暴力じじいという声を伴奏に、我らの主人公、大木妹人(おおき まいと 17歳男)は鼻歌を歌いながら通用口から入って来た。作務衣を着た小柄な老人を見る。
「あれ、来てたの師匠。」
「おお、マイト。精進はしておるか。」
「ばっちりだよ。師匠。」
「そうか。うむ。やはり男は強くなくてはな。」
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