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16.事件に巻き込まれた被害者1に関する報告4
「…そう。なんか、急に気分悪くなっちゃった。」
佳々子は下を向いて笑ってみた。ヘンな笑い、いつも悲しいときや困ったときに出る笑い。 初恋は、瞬間的に爆砕 した。 顔をあげて、肩をあげて精一杯の笑顔を向ける佳々子。 「…あのね、最後にきいていい? その人、どんな人?」 「え?」 初恋復活。 「なんか、急に気分が良くなっちゃった。」 佳々子は、かなり必死に妹人の袖を掴んだ。がくん と引き寄せられる妹人。 「…え、あ、ううんっ、それほどじゃないと思うの。」 表情を消した妹人の顔を間近で見て、佳々子は顔を真っ赤にして下を向いた。 手を放す。 「でも、予備校に行くほどじゃないけど。」 出た言葉は、凄く小さな声だった。
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