8.

 円形の練習場。中心にが立ち、ロープが張られ、移動障害が仕掛けられている。 それが、この世界のフェンサーの練習場であった。

「この舞台から落ちてはなりません。いいですか。」
「相手は?」

 年を経た女官は、笑った。

「私ですよ。」
ばあやが勝てるわけないわ。」
いいえ、それが勝ててしまうのです。相手がフェンサーでない限りは。さあ、マイト様を取って。」
レピアーとか言ったな。」

 妹人が手にした細剣は、刃が字に作られていた。見た目が細いのとは裏腹に、V字に作られているため、強度的には非常に高い。 護拳、すなわち金属のカップが柄についており、これで相手の剣を滑らせたときに指が切られるのを防ぐようだった。

「たしかに…実戦的だ。俺は、もっとへなへなしたものかと思ってた。」
「それは、フェンシングフォイル。非装甲用の、あまり実用ではありません。」

 年を経た女官は、練習場の真ん中に立った。

「一ついい?」
「なんでしょう。」
って、なに?」
「…水を統べる水の巫女魔力は、どうしても残さなければなりません。…だから、強い男を選び、子を残します。そのための儀式です。」

 妹人は、をひそめた。

「…感心しないな。」
「そう考えない者もいます。要は、の少ないこの地方にとって、王を選ぶも同然。
「やっぱり感心しない。」

「…男が、皆そうであればね。さあ、来なさい。」



          
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