29.

 淡い光の渦が、天から降り始めた。 妹人の体が、淡く輝き始める。

「みんな、やれるじゃないか。」
あなたのせいです。…マイト。」

 背中あわせの水の巫女が、背を寄せて戦いながら、言った。 妹人は、輝く手を見た。

「いや、は、ただのきっかけだ。…助けてくれて、ありがとう。お陰では、今一度挑戦することが出来る。」
「え?」
「一度は、負けた。だが、次が同じとは限らない。」

水の巫女が振り向いたとき、そこには、もう男の姿は消えていた。 ただ光の柱が、天に昇っていっただけである。

 水の巫女呆然とする中、ゴダロを追う民衆達が隣りを走って行った。


第2回 終り



          
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