近づく剣士の一人の腕を握りしめて引き寄せ、レピアーを奪って盾にし、蹴り倒して二人を再起不能にして、妹人は、言った。

「強いんだな。」
あなたの顔を見て、強くなりました。」

 水の巫女は、そう言った。
「水は、大気に抱かれて優しくも強くもなるのです。」

 己自身もしぶきを受け、濡れながら、水の巫女セーラぴったり妹人によりそった。 魔力が切れるまで戦い、このまま手を握ることも、唇に触れることもなかろうが、だから、どうした。  そのと、きつく結ばれたが、壮絶に美しかった。

「戦闘の中で、なんですが、おめでとうございます。」

  年を経た女官が、レピアーを突きながら、笑ってみせた。

「ずっとこの日を待っておりました。」
「ありがとう、ばあや。」

 新たな水の激流が、また数人を吹き飛ばす。 今迄座っていた銀髪の男が、目をつぶって、目を、開いた。 ゆっくりと立ち上がる。そしてレピアーを抜いて。鞘を、捨てた。

「…水は男を選んだ! 水を守れ!」
「裏切り者め!」

 ゴダロの叫びを圧して、は、叫んだ。

「聞け、民よ!水は次代の者を選んだのだ!」

「そうだ、水を守れ!」
「水を守れ!」

司会の男が、を取った。
逃げようとした民衆が、水の巫女と、我らの主人公が背中合わせに寄り添って戦う姿を見る。  そして、歯をむき出しにして顔を歪めた。水の巫女が、幸せそうだったから。

そして、手に棒を、石を持って民衆は叫びながら突撃する。




          
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