6.
泣き疲れて、砂浜に体を横たえていた佳々子が顔をあげると、そこには、佳々子を見下ろす巨大な影があった。
涙で良く見えない。
眼鏡をあげた佳々子は、涙を拭いて目を大きく開けた。
小山のような姿。
赤茶けた錆の巨人が、膝をついている。
波の音がした。
現実ばなれした光景に、しばらく佳々子は動きを止めていたが、次には自分でも驚くほど、その状況に納得していた。声を、かける。
「…キミも、はぐれたの。」
鬼魂号は、赤い目を光らせた。
異音を立てながら、手を伸ばす。
佳々子は、それが肯定だと、論理ではなく納得した。
「なに? …指? …違う…こぶ…し?」
小山のような巨人は、巨大な拳を見せた。金属のプレートが、張られていた。
|