9.

夜が訪れようとしていた。
 小さな自分を抱きしめて、震える佳々子
「…寒い。」

鬼魂号は、から異音をあげた。途中、二、三度引っかかりながら胸のハッチが開かれる。

赤い目が光る。
 ハッチの奥から、光が漏れた。

「…乗れ…? そこは、操縦席なの?」

鬼魂号の赤い目が光る。
 巨大な手が、動く。差し出される。
「動かないで。腕が、ぼろぼろと落ちちゃう…。…ああ、でも…ありがとう。」

佳々子は、寒さに震えながら、弱々しく微笑んだ。
「キミは…いい子だね。…まって…あんまり、高いところ…得意じゃないから。」


おっかなびっくり、佳々子はゆっくりと、腕をつたわり、胸を伝わり、光の漏れるハッチについた。錆が体についたが、そんなことは、気にしなかった。


 光は、モニターの光だった。
ハッチに手をかけて、コクピットに入った佳々子は、そこが大きいことに、驚いた。

 モニター上に、文字が現われる。



          
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