ガンパレードマーチ・外伝
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長い沈黙に、原はちょっと頬を赤らめた。
 善行は、眼鏡を指で押した。丁重に聞こえなかったふり。
「綺麗な手ですね。」
 原はびっくりして善行の顔を見た後、善行が真顔なのに呆れて、さらに頬を赤らめた。

「何言ってるんだか。」
手を隠す原。

 それが反撃のつもり? という目で原は善行をにらんだ。平然と受け止める善行。

「整備の練習ばっかりしていた手が、綺麗なわけないでしょ。」
「…なら、それが僕の趣味なわけだ。」

 原は、動けなかった。

善行が、手を伸ばし、原の腕を掴む。引き寄せた。
原の袖から、原の指をひきずり出し、自分の手で優しく包み込む。息を止める原。
「ここしばらく、どう考えてもサドのような教育小隊付き戦士と、鬼教官どもに鍛えられていたせいで、すっかり軍隊式になりました。回りくどいのも撹乱戦も、趣味ではありません。」

 原は、前髪を顔にかけて、震える目で善行を見上げた。
「…一生懸命なことを笑い飛ばされたら、僕達兵隊は生きちゃいられない。あなたが一生懸命な人なのは、会った時に分かった。」
 善行は、原を解放して、勝ったと微笑んだ。

「それから、慣れないことすると、地が出ますよ。以上終りです。」


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