ガンパレードマーチ・外伝
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第8幕

 若宮は、受付によって入場者を調べると、公衆電話から電話を掛けまくっていた。
「内田大尉でありますか。 おひさしぶりであります。若宮戦士であります。」
 若宮は、受話器を持ったまま頭を下げた。
「はっ、はっ。…いえいえ、大尉の腕前が見事なだけです。自分はただ、最初の手ほどきをしただけにすぎません。」

 若宮は受話器を持ったまま直立不動の姿勢で敬礼した。直後に周囲の視線に気付いて小声になる。
「…はっ、その通りであります。 では遠慮なくお願いします。…実は、今育てております若鳥の周りにきな臭い匂いがしておりまして。…はい。それで調べて欲しいことがありまして。…何を言っているんですか…どいつもこいつも、かわいい奴等です。私がたっぷり時間をかけて磨き上げた、あなたと同じ、勇猛なる指揮官であります。」

「ありがとうございます。恩に着ます。さすが軍政付きですな。ええ、人物の経歴なんですが。…フランソワーズ・茜です。」

善行は、芝生の上を歩きながら、腕時計を見た。
 原が、その様を見て目を細め、冷ややかな声をあげた。

「どうしたんですか。」
「いえ。午前中どころか、午後もお呼びがかからないので…」
「もぅ。美人とデートしているんだから、少しくらいは頭を悪くされたらどうかしら。」
「敷地の隅においてある、古い戦車を見るのがですか。」
「君と一緒なら、どこででも幸せ。それぐらい言って欲しかったりして。」

 善行は、演技が上手いひとだと思いながら、戦車を女性に見たてる原に微笑みかけた。
原は、善行のほうを見て、気高い猫のような目つきをする。にゃーん。
「あなたが、ですか。」
「今のは一般論。本音はそう…」
 原はふふんと笑って目を細めて澄ました顔をして言った。
「がばぁっと抱きしめるとか、コチンコチンのものが当たるとか。色々。」


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