ガンパレードマーチ・外伝
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 少女は、小奇麗な制服に包まれた身体を善行に向けた。まっすぐと善行を見ると、ずいぶんと美人に見えた。
「だって、言葉でちゃんと言わないと、誰も好意に気付きませんよ。」
 善行は校長と若宮と兵隊達を思って笑った。僕は不器用なほうが好きだな。

「…そうですね。僕も次からは注意しますよ。ありがとう。」
 善行は優しく微笑んで、嘘を言った。 多分、僕も本当に好きな相手には、きっと何も言いはしませんよ。
「いえいえ。どういたしまして。」
 少女は笑って、善行と一緒に窓の外を見た。このまま話を終らせたら惜しい気がしたのか、目が横を向いたり、上を向いたり。
少女の髪がそよ風に揺れる。

「あの。」
「はい。」
「私、今フランソ…ええと、先生について来たんですけど、秘密の話とかで…追い出されちゃって。よかったら、学校案内してくれませんか。」
「ええ。喜んで。…先生は軍の関係者か何かなんですか。」
「軍の技術学校です。私も、その生徒ですけど。」
「…それは失礼しました。実は、軍の幼年学校コースではなくて、一般大学からの…まあどうでもいいんですが。」
「ふふふ。本当にどうでもいいですよね?」
 少女は、善行をさえない人、ではなく、かわいい人と、思った。
自分の胸に手をあてて笑ってみせる。ちょっとドキドキしていた。
はにかんで、顔をあげて善行に口を開く。
「はじめまして。私、原素子って言います。第21技術学校2年です。」


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