その一方で、善行はこの間取り付けたデートの約束を守ろうとしていた。 それはそれ、これはこれとばかりに自分の身に迫る危険や恐怖を無視し、いかに相手を喜ばせようか、そういうことも考えている。 急に激しいアクションに出たら、相手を警戒させる。そうも考えた。それに、今のところ出来ることは全部やっている。 今はささやかな約束を守ることだ。さもなければ家で震えることになる。
善行は、花屋に寄って花を買った。青い花だった。 発作的に殺人を犯した後で冷静に隠蔽する犯罪者の気分だな。善行は眼鏡の奥でそう考えた。