![]() |
6.事件に関する非一般報告その2
「どうしたの。師匠。」
老人は、しばらく言葉を考えた後、にっこり笑った。 「お別れを言いに来た。」
アルバイトでバンドの兄ちゃんは杖で顎を突かれてもんどりうった。 「老人ホームに行くことになってな。これでお別れじゃよ。」
老人は、瞬間だけ寂しい表情をしたが、次の瞬間には笑った。 「…いや、わしも新しい恋でも探そうと思ってな。教えた通り、木刀は振っておるか。」
老人は、思わず笑ったが真顔で言った。 「いい女を捜せ。いい女がいれば、男はとりあえず強くなるもんだ。誰よりもな。」 「師匠も?」 「そうじゃ!強さとは佳い女なりじゃよ。」
|
![]() |
![]() |