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10.事件に関する非一般報告その4
「あ、あの。」 佳々子の顔をまじまじと見ながら、我らの主人公、大木妹人(おおき まいと 17歳バカ)は、これはいい女じゃないよな と思った。でも、いい女に会って、それからどうなるんだろ とまでは考えが進んでない。二つは同時に物事を考えられない男であった。 「あ、あの、私、覚えてますか。」 小村 佳々子(こむら いいこ17歳女)は、予想と違う反応に発作的に死にたくなったが、とりあえずその前に口が先に動いた。 「大木くん。元気にしてる?」 大木妹人(おおき まいと 17歳バカ)は、もうそれ以上深いことは考えず、例によって花 も嵐 も踏み越えるあの歩き方で、いい女探しの旅を再開した。 勉強はともかく、運動はまったくゼンゼン駄目な上に今日は熱がある小村 佳々子(こむら いいこ17歳アレ)はその旅の3歩目にしてはやくも周囲の風景が回るような気がして、さらに5歩目で大木くんの背に頭をぶつけた。 「どうしたの。」 小村 佳々子(こむら いいこ17歳気分悪い)は、頭をぶつけた痛みではなくて、なんだか泣けてきた。ここまで大木くんに無視されて、とても悲しかった。 「…あのね…大木くん。…その、ずっと謝りたかったんです…怒って当然ですよね。…ごめんなさい。ごめんなさい。…私があの時、助けられたりしなければ…」 小村 佳々子(こむら いいこ17歳傷心)は、涙を浮かべた。
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