10.事件に関する非一般報告その4

「あ、あの。」
「なに?」

 佳々子の顔をまじまじと見ながら、我らの主人公、大木妹人(おおき まいと 17歳バカ)は、これはいい女じゃないよな と思った。でも、いい女に会って、それからどうなるんだろ とまでは考えが進んでない。二つは同時に物事を考えられない男であった。

あ、あの、、覚えてますか。」
「うん。覚えているよ。委員長だろ。どうしたの。」
え、あ…その。」

 小村 佳々子(こむら いいこ17歳女)は、予想と違う反応に発作的に死にたくなったが、とりあえずその前に口が先に動いた。

大木くん。元気にしてる?」
「いつもどおりだよ。」
じゃ、急いでいるんだ。」
ま、まって。私もいく。」
「そう?」

 大木妹人(おおき まいと 17歳バカ)は、もうそれ以上深いことは考えず、例によって も踏み越えるあの歩き方で、いい女探しの旅を再開した。

 勉強はともかく、運動はまったくゼンゼン駄目な上に今日はがある小村 佳々子(こむら いいこ17歳アレ)はその旅の歩目にしてはやくも周囲の風景が回るような気がして、さらに5歩目で大木くんの背に頭をぶつけた。

「どうしたの。」
「…な、なんだか風景が回って…」

 小村 佳々子(こむら いいこ17歳気分悪い)は、頭をぶつけた痛みではなくて、なんだか泣けてきた。ここまで大木くんに無視されて、とても悲しかった。

…あのね…大木くん…その、ずっと謝りたかったんです…怒って当然ですよね。…ごめんなさい。ごめんなさい。…があの時、助けられたりしなければ…」
「は?」
「2ヶ月前。」
ああ、あれか。不良ね。」
「あれで、をかばって大木くん処分されて、すぐ学校やめちゃって。」
いい女ってどこにいるんだろう。」

 小村 佳々子(こむら いいこ17歳傷心)は、涙を浮かべた。



          
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