地面にはいつくばった妹人は、右手で蹴られた腹を押えながら、左手で土 を握りしめた。
「…」 「なんだって。」
彼は、目をつぶって父と師匠の言葉を思い出した。
「…彼女は、俺とつきあってない。…それから」
「…弱いことを悪く言うな。」
強いと弱いに善悪はない。善悪を決めるのは、別のことだ。 我らが主人公、大木妹人(おおき まいと 17歳未熟 )は、それでも、地面にはいつくばっていようと、やはり主人公であった。
「…」
その目は、まだ、負けてない。
「なんだって。」 「…まだ ドローの可能性 がある。」 「どうやって?」 「時間がないって、言わなかったか。」