20.事件本体その3

地面にはいつくばった妹人は、右手で蹴られた腹を押えながら、左手で を握りしめた。

「…」
「なんだって。」

は、目をつぶって師匠の言葉を思い出した。

「…彼女は、とつきあってない。…それから」

「…弱いことを悪く言うな。」

 強い弱い善悪はない。善悪を決めるのは、別のことだ。
 我らが主人公、大木妹人(おおき まいと 17歳未熟 )は、それでも、地面にはいつくばっていようと、やはり主人公であった。

「…」

その目は、まだ、負けてない。

「なんだって。」
「…まだ ドローの可能性 がある。」
「どうやって?」
時間がないって、言わなかったか。」



          
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