6.

   水の巫女は、じっと色々なことを考えながら、我らが主人公大木妹人の横たわった寝台の傍に座った。妹人の顔を、良く見る。軽くうなる妹人。
 生まれてすぐ巫女として神殿に入ってこっち、こうも間近での顔を見るのは、はじめてだった。 だから何もかも珍しい。

黒い髪、見知らぬ服。異国のひと?…私の知らない、どこか…遠くの。」

 黒い髪に指を絡ませてみる。顔を近づけて、見る。本当に黒い髪だった。 近づき過ぎている、いつ目を醒ますか分からないそう思いながら、水の巫女は、それが心地良かった。  閉じた瞼を見て。いつも看病をしていたときに考えていたことを、口に出した。

「…私はあなたを助けたのよ。…分かって? …分かるのなら、私をどこかに、連れていきなさい。」

が、聞こえる。の音。  鈴、鈴は痛い妹人は、目を開けた。
天井と目の前に大きく映る少女が居た。  水の巫女が、息を止める。

「…委員長!」

 我らが主人公、大木妹人がば、と起き上がった。 次の瞬間、水の巫女の頭に頭がぶつかってもんどりうって倒れる。  ガランゴロンの音がした。

「痛…」
「…な、なひをひすれいなことを。」(な、何を失礼なことを。)

 水の巫女は顔を真っ赤にして…痛いのと恥ずかしいの両方…で、顔に手を当てて抗議の声をあげた。  ベットから起き上がった妹人が、座り込んだ水の巫女を見て、周囲を見る。 無意識に体を動かして、戦いが出来るかどうかを考えていた。



          
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