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「あなたの動きは洗練されてきています。良い上達です。あと五年もすれば、間違いなくソードマスターになれるでしょう。…今回は、間に合わないけどね。」
妹人は、続く攻撃を剣で払い、そしてウェービングでかわした。身体につけた砂袋が剣で破かれ、砂を流す。もう、ぎりぎりの避けが出来るようになっていた。さっきの攻撃にしても、威力が弱いのだから肩にしかこないと思えば、勘で避けられる。 「どうしたのです、打ちかかってこなければ勝てませんよ。」
妹人が、目を動かした。練習場の入り口で、ドアにすがりつくようにしてこちらを見ている水の巫女を見る。そして、ため息をつく女官の突きに、派手に打ち倒された。泣きそうになる水の巫女。 誰も呼びに来ないので戻ってみたら、妹人の受けを見て、もしかしたらと考えて、そしてやっぱりと落胆していた。 年を経た女官は円形の練習場の端に転がった妹人を見て口を開いた。 「今日はこれぐらいにしておきましょう。集中力が切れたら、剣は避けられません。」
剣を壁にかけて、練習場を出る女官。 的確な一撃で、まだ、身体がしびれていた。あの年を経た女官はきっと、この世界で高名な武将の娘か何かで、その腕を持って、水の巫女の守役をしていたに違いない。
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