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大の字になって考えながら天井を見る妹人の顔に、水がかけられた。 「…」 水の巫女だった。 「気持ちがいいな。もう一度やってくれないか。」 怒った顔の水の巫女は手を伸ばした。石畳の隙間から、地面から直接水が湧き出してくる。妹人は一瞬水の中に沈んで、次の瞬間には、水が消えたのを見た。 「すごいな。身体が冷えていい。」
妹人は、顔を傾けて泣きそうな水の巫女を見た。 「…それから一度言っておく、弱いことを、悪く言うな。弱いことを恥と思うのは、この世でたった一つの人種だけだ。」
「サムライだ。あれだけは、己が弱いことを恥と思う。己が勝たなければならないとき負けたことを、恥辱と思う。全てを賭けてでも勝たなければならない一瞬に、全てを賭けられなかったことを、一生をかけて悔やむ。」
自分を見ながらどこか遠くを見る妹人に、水の巫女は目をそらした。 「…それは、私の知らない人を助けられなかったということ?」
水の巫女は、手を伸ばして激流で妹人を押しながした。 涙ぐんだ巫女は、手に持っていた救急バスケットを置いた。 「お調子者。最低の汚水にも劣る人。もう二度とあなたを看病することはありません。自分で治療なさい。」
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