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ほどなくして、確かに太った男が入ってきた。年は、50か、そこまでいってないか。 上機嫌そう。 「おお、私の水の巫女は、どこですかな。」 ゴダロは、目を細めた。 「その涼しい顔が拝めるのも、あと数日と思えば、なんとも言えない気分だ。なあ、マンセイ。」 後隣に控える長髪の剣士が静かにうなずいた。コンビニでバイトしていた長髪の兄ちゃんに似ているなと考える妹人。一見して、一流のフェンサーと言う事が伺える。 それよりも、妹人はゴダロに腹を立てていた。恥知ずな物言いめ。 ゴダロは、嬉しそうに大声を出した。 「そうだ。初夜は、あなたを別室に招待しましょう。一晩中聞こえる声を聞くのは、ずっと母親替りだったあなたの最後の仕事にふさわ」 妹人は駆け出そうとして、羽交い締めされてがくんと下がった。 顔に手を当てた女官が、手のひらの合間から横目を向ける。 「今、なにか。」
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