12.

 手で口を塞がれた妹人は、それが、細くて小さく震えていることに気づいた。 へたり込んだ妹人は、背中に柔らかい物が当たっていることに頬を赤くしながらも、黙っている。
 大人しくなったところで手を引かれて、秘密の扉を出て中庭に出たところで、妹人は口を開いた。

「なんで…」
「ここは男子禁制なんですよ。もし見つかったりしたら…見つかったら…
いや泣かなくても…その…

 我らの主人公、大木妹人(おおぎ まいと 17歳未熟)は、初めて自分のせいで泣かせてどもった。どうしようかと手を出そうとして、手をひっこめる。

 たまったを、頭を振って振り払う水の巫女。かぶり物の左右につけた大きな鈴が、ゴロンゴロンと音を立てた。泣きそうな顔で、うらめしそうに妹人を見る。

「…弱いくせに。」
いや、それは…いや、いやそれより、もう二度と会わないんじゃなかったっけ。」

 まずい言い方であった。 水の巫女は、下を見たが、次に妹人を見たときには精一杯すましていた。

「…いつ出て行くか、見たかっただけです。…ここは、男子禁制なんですよ。お分かり?



          
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