「…の頭にぶつかってきたくせに。」
「なぜか目の前にの顔があったんだ。」
「…転びそうになったんです。」
「…はぁ。…頭に、重いものつけているからだよ。」
ぶ、無礼者、これは正装です。」

 ゴロンの音をさせて水の巫女は手を振り上げた。振ろうとして避けられて、転びそうになったところを抱きとめられる。

ほら。…言わんこっちゃない。」

 水の巫女は、抱きとめられて目をつぶった。 あと何日もこうしていられないのに、この人と一緒にいて、何になるのだろう。
駄目…駄目だ。このままいれば、の後の絶望が深くなるだけ。これより悲しくなるぐらいなら

ぐらいなら。

 水の巫女は、最後に一度だけ、額を妹人の胸に押し付けると、長い髪を振って顔をあげた。目を開く。水よ、の目からが出ないように。

もう、許しません。明日の朝には、出て行ってください。いいですね。

 泣きそうな顔水の巫女は言うと、次に走り去った。

「絶対にですからね。」



          
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