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17.
「剣士は居ないか、剣士は! もう締め切るぞ。」 「一人、居るぞ。」 群集の間から、静かに声がした。 人々が、ざわめきながら道を開ける。 それは我らの主人公、大木妹人だった。 顔を隠すマントを捨て、影の中から現われる。 大勢の剣士を周囲に集め、観客席に座ったゴダロは歯噛みした。 「どうやって会場に入った。」 お付きの銀髪の老剣士が、静かに言った。 「失策だな。」
我らの主人公、大木妹人は、ボロを捨て、レピアー、その細い剣を出現させた。 階段をあがり、ゆっくりと舞台にあがる。
「名は?」 「囚われた娘を救いに来た。」 「これで二人になったな。他にいないか!試合をおこなうぞ。」 司会の男は叫んだ。妹人を見て言う。 「場外は負けだ。相手を殺すか、降参させればいい。」
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