17.

「剣士は居ないか、剣士は! もう締め切るぞ。」

「一人、居るぞ。」

 群集の間から、静かに声がした。 人々が、ざわめきながら道を開ける。  それは我らの主人公、大木妹人だった。 顔を隠すマントを捨て、影の中から現われる。

 大勢の剣士を周囲に集め、観客席に座ったゴダロ歯噛みした。

「どうやって会場に入った。」
「…数日前から入っていたのでしょう。最貧民のふりをして、」

 お付きの銀髪の老剣士が、静かに言った。

「失策だな。」
「そうかもしれません。」

我らの主人公、大木妹人は、ボロを捨て、レピアー、その細い剣を出現させた。

 階段をあがり、ゆっくりと舞台にあがる。
その横顔は数日の絶食で少々やつれていたが、だが、それだけであった。

「名は?」
「マイト。」

囚われた娘を救いに来た。」

「これで二人になったな。他にいないか!試合をおこなうぞ。」

 司会の男は叫んだ。妹人を見て言う。

場外は負けだ。相手を殺すか、降参させればいい。」
「聞いている。」
「そうか。…では試合を開始する! 銅鑼を鳴らせ! 両者前へ!



          
2001 (C)AlfaSystem co.,ltd All right reserved.