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攻撃は突然に来た。目に映らないほどの早い突き。 妹人はレピアーを振って迫る切っ先を払った。早い動きは、ただ速いだけ。 手首を返しては、何度か目に見えぬ程の速度を出す切っ先を払い、ついてはまた払われ、また突いて来る切っ先を払う。 続く何度かの応酬は、レピアーとレピアーの先が磁石で繋がっているように見えた。 打ち合わされる金属音がどんどん速くなる。火花が、散った。
「はっ!」 裂帛の気合と共に、剣士は踏み込んで突いてきた。
後ろに下がり、首をひねって攻撃をかわす妹人。 それはさながら舞踏のよう。一流のフェンサーがおこなうレピアーの戦いは、形式化された舞踏に似る。 円形の舞台の端で、追いつめられた妹人は頬から血を飛ばした。己の血を無視し、さらに踏み込んでつばぜり合いに持ち込む妹人。 |
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