妹人の血が飛び散った瞬間、水の巫女は身を縮めて目をつぶった。 両手を顔に当てて、しゃがみこむ。祈りの言葉が、漏れた。
年を経た女官が、その肩に手を置いた。
「あの男、セーラ様の為に戦っております。信じておあげなさいませ。」 「でも。」 「あれは、いい男だと申しております。」
年を経た女官は、試合から目を離さずにきっぱりと言った。水の巫女が、見上げる。
「いい男を見たら、目を離してはいけません。でないと…、遠くに行ってしまいます。」