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22.
長い髪の剣士は、満面に笑顔を浮かべた。つばぜり合いしながら、妹人にささやく。 「堂々たる剣の扱いだ。付け焼き刃にしては、と言うところだが。」 見破られた。妹人は、静かにそう考えた。そんなものだろう。 「その練習量では、正攻法しか受けきれまい。だから、自分が変則的だと思わせた。用心して正攻法を仕掛けさせるために。違うか。」 妹人は、水の巫女のことを思った。 「それでも勝つ。」
左手のソードブレイカーで、突く。 武器をレピアーしか持っていない長い髪の剣士は、バックステップで下がった。距離を取る。 「約束は技量とも、実力とも関係ない。」 ソードブレイカーを離す。金属音を立てて落ちたソードブレイカーが舞台の上で回った。 「約束を守ると言うことは、違う。」 舞台の際で、我らが主人公大木妹人は、敵に対し正面を向いた。 レピアーを高く構え、左手をそえる。それは日本刀の構え、上段の構えであった。 「男子が約束を守ると言うことは、理屈とは関係ない。」
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