![]() |
24.
首を突く、袈裟懸けに斬る、胴を一刀両断する。
腕を斬る、頭を叩き切る、その脇腹を貫く。 妹人の瞳に、飲まれたのか、長髪の剣士は一歩下がった。 気迫。妹人の構えが変わった瞬間、あの男の背には、明らかに異質な、自分の知るどの剣とも違う、ただ剣を冴えさせるためだけに九百年かけて東の島国で鍛え上げられた、力と技のバックボーンを身につけていた。 格が違う。この、たかが二百年の剣技と比べれば――。 「嘘だ。相手はただのチビだ。あの構えは突いてくれと言っているようなものだ!」
長髪の剣士は、腹の底から絞り出された妹人の声で髪を振り乱して突きにかかった。
|
![]() |
![]() |